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牛たん専門店に聞く「意外と知らない“仙台牛たん”の楽しみ方」

 焼肉屋で最初に食べる定番メニューといえば「たん塩」。レモンや塩のさっぱりとした味付け、独特の固い食感が特徴だ。一方、「定食」で食べる牛たんは、それとは異なる。  仙台牛たんに代表される王道の食べ方「麦めし、とろろ、テールスープ」はもとより、肉の熟成作業や厚切りなどの仕込み方も、焼肉屋のたん塩とは一線を画すものになっている。
仙台牛タン

意外と知らない「仙台牛タン」の楽しみ方とは?(提供写真)

 そんな仙台牛たんのことを知れば、もっと味わい深くなるかもしれない。そこで今回は仙台牛たん定食屋「牛たん けやき」を運営するBLOOM株式会社 代表の古山 智さんに、美味しい牛たんの食べ方や味変テクニックを聞いた。

牛たん定食の“3種の神器”には歴史がある

麦飯、とろろ、テールスープ

牛たん定食に欠かせない麦飯、とろろ、テールスープ

 まず、牛たんの豆知識として知っておくべきなのは、「歴史」と「仕入れ」だ。  牛たん発祥の地として有名な仙台では、戦後、アメリカの進駐軍が残した牛の舌やしっぽ(テール)などを再利用して、牛たん定食が誕生したとされている。  当時は食糧難の時代だったため、米の代わりに麦飯、とろろを用意し、さらには牛のしっぽから作ったテールスープとともに牛たんを食べていた。これがのちに、「麦飯、とろろ、テールスープ」という、牛たん定食における“3種の神器”と呼ばれるきっかけになっている。 「仙台牛たんを語る上では外せないもので、あまり実態としてはないかもしれませんが、もし3種の神器を提供していないお店があれば、それは本場の仙台牛たんを踏襲していないと判断できます」(古山さん、以下同)  さらに、「仙台牛たんは国産の牛を使っている」と思われがちだが、国内で消費される牛たんの大半は、アメリカやオーストラリアといった海外からの輸入品で、国産の割合はわずか3%程度になっている。 「国産牛たんが少ないのは、単価が高すぎてお店で使えないから。また、牛たんのみという部位指定での仕入れができないのも、国産牛たんが出回らない一因になっています」

ブロック(塊)で売っている店は品質に自信がある証拠

牛たんの部位

牛たんの部位。たん元、たん中、たん先に分かれており、左の部位ほど希少部位になるそう

 そんななか、古山さんによれば「専門店として美味しい牛たんを選ぶ決め手は餌や産地」なのだとか。 「牛に草だけでなく、穀物を餌として食べさせた方が脂が乗りやすく、穀物を与える期間によってショート、ミドル、ロングというグレードに分かれます。仕入れ値でいえば、通常の焼肉屋で出すたん塩よりもキロ単位で倍以上する高価なものになっているのです」  もしもスーパーで牛たんを見かけたら、「薄くスライスされたものではなく、ブロック(塊)で売っている店に関しては、牛たんの品質に自信があると考えることができる」と古山さんは言う。
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牛たんの旨さを引き立たせる“味変”テクニック
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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