“極厚”にこだわる牛たん専門店「3000円超えの定食から売れていく」納得の理由
仙台といえば「牛たん」を思い浮かべるのではないだろうか。多種多様な牛たん専門店が軒を連ねる牛たん通りは、まさにその象徴と呼べる。
そんな仙台名物を“極厚”で提供する牛たん専門店が「牛たん けやき」。仙台スタイルを踏襲しつつ、独自の味付けやメニュー開発を行い、東日本を中心に12店舗を展開している。
なかでも、「特上牛たん焼き定食」(3,300円)、数量限定メニューの「極撰牛たん焼き定食」(3,850円)は最上級の牛たんを堪能できるとあって、高価格帯にもかかわらずに真っ先に完売してしまうという。
古山さんは中国料理のシェフとして飲食店に勤め、中国料理世界大会では2度の金賞を受賞するなどの腕を持つ。
その後、栃木県をはじめとした東日本エリアで、中国料理やラーメン、餃子の業態を手がけるBLOOMを創業。とりわけ、2012年~2014年頃はラーメン業態に力を入れており、最盛期でおよそ30店舗を出店していたという。
こうしたなか、ラーメン以外の新たな主軸となるジャンルを開拓し、会社の成長を目指すために着目したのが牛たんだった。
仙台牛たんの王道として知られる「利休」が大都市圏やショッピングモールに出店し、牛たん定食をカジュアルに楽しめる「ねぎし」も多くの客で賑わう状況に、古山さんは「牛たんのポテンシャルを感じた」と当時を振り返る。
「牛たんが食べられるいろんなお店に足を運びましたが、どこも多くのお客様であふれていて、牛たんの認知度の高さをあらためて感じたんです。牛たんのジャンルで業態開発を進めていくなかで、“他社が出店していないロードサイド店舗なら勝ち目があるのでは?”と考えました。そして、3年の開発期間を経て、2017年から牛たん専門店を運営しています」
第1号店となる「仙台炭火焼き牛たん欅」は、仙台の牛タン専門店をベンチマークし、「仙台名物の美味しい牛たんを、宇都宮の人にも食べてもらいたい」という思いのもとで開業した。
国道4号沿いに構えた店舗は、“宇都宮で本格的な仙台牛たんを味わえる”として人気を博し、立ち上げ当初の滑り出しは順調だった。
その勢いのまま、2018年には新潟店をオープン。牛たんの業態展開を加速させていったわけだが、「伸び悩む時期もあった」と古山さんは言う。
「土日を中心にハレの日やご褒美需要から高価格帯のメニューは売れるものの、平日のランチや夜の時間の集客が課題でした。そこで、もう少しカジュアルに、仙台牛たんを楽しんでもらえるお店づくりにシフトチェンジしていきました」
牛たん けやきを手がけるBLOOM株式会社の代表取締役を務める古山智さんに、仙台牛たんの業態開発に取り組む狙いや、高価格帯の定食屋が繁盛する理由について話を聞いた。
ラーメンから牛たんに業態変更を進めた理由
牛たんの可能性を感じるも「伸び悩む時期もあった」
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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