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“日本一忙しい役者”のひとり、佐藤浩市の仕事論「情熱を枯らさないためには、休むことも必要」

 日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を2度受賞し、令和5年の出演作は9本。文字通り“日本一忙しい役者”と称していい佐藤浩市。8月25日に公開された『春に散る』は横浜流星とのW主演作で、“ボクシングを通じて〈生きる〉を問うこと”をテーマにした作品だ。世間に求められ続けるなかで、一昨年に還暦を迎えた男が明かす、年齢を重ねていくなかで変化した仕事観に死生観とは――。

枯れない役者魂の生き様、死に様

Koichi Sato_01 エッジ

俳優・佐藤浩市

――40年ぶりに帰国した元ボクサー・広岡役です。華麗な動きが印象的でした。 佐藤:僕はリングに上がるわけではないので、5回くらい練習に通ってベーシックなメニューを消化したくらいで、大したことはしていません。我々世代は若い頃にボクサー崩れの役が多く、その蓄積は多少なりとも生きている。当時、具志堅用高さんやガッツ石松さんに教えてもらったことはいまでも覚えているもので、すぐに基本の感覚を取り戻せましたね。乗馬とボクシングは、自転車みたいに一回経験すると忘れないんです。 ――体もかなりシェイプアップしている印象です。日頃からトレーニングは? 佐藤:僕らの年齢になると表層の筋肉を鍛えると逆に怪我をしやすくなるので、基本はインナーマッスル系です。股関節に腹筋や背筋、大臀筋やふくらはぎのストレッチを最低限行っていますが、僕の場合は自分の趣味と仕事の実益が一緒。つまり、ゴルフですね(笑)。ゴルフを続けているおかげで、怪我はほとんどありません。あとはお酒の量を控えるくらい。そして、ワガママを言わせていただいて「仕事をしない」と決めた期間はしっかり休養を取っています。
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情熱を枯らさない。それが一番難しい
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物書き。’87年福井県生まれ。映画を中心に、アニメやドラマ、本、音楽などの取材やコラム執筆、イベントMC等を手がける。「装苑」「CREA」「CINEMORE」「シネマカフェ」「FRIDAYデジタル」「映画.com」などの雑誌、Web媒体に寄稿。ツイッター@SyoCinema

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