「ばら撒きメガネ」岸田首相が海外ばかり経済支援する理由は?国内の問題は山積みなのに
インボイス制度をはじめ様々な増税策を実施・検討していることから、岸田文雄首相をSNSで「増税メガネ」と揶揄されている。また、海外に積極的な経済支援を実施していることから、「バラマキメガネ」と呼ぶ声も少なくない。
実際、ASEANに2兆8000億円の投資したり、アフリカに3年間で4兆円の支援を実施したりなど、大胆かつ積極的な海外支援が岸田政権では目立っている。岸田首相がなぜ海外への経済支援を繰り返すのか。経済的に困窮している人が少なくない昨今、今すぐに講ずべき政策などを経済アナリストで『「国の借金は問題ない」って本当ですか?〜森永先生!経済ど素人の私に、MMTの基本を教えてください。』(技術評論社)の著者・森永康平氏の意見を聞いた。
故安倍晋三氏が首相の時から、フィリピンに5年間で1兆円規模の支援実施を決めたりなど、国外への経済支援は数多く実施されてきた。そもそも、日本が発展途上国に対して経済支援することの妥当性について聞くと、「国際社会における日本という立場から考えれば、それなりの合理性や正当性はあると考えます。かつては日本も被援助国であり、相互扶助という観点を忘れてはいけません」と一定の理解を示す。
「特に国際社会が平和になり、情勢が安定することは日本にとっても国益となります。軍事力や資源があれば、交渉を有利に進めたり、外交カードにできますが、日本にはどちらもありません。ですが、発展途上国に対する支援を実施して国際的な格差を是正できれば、争いが生じる可能性を低下させ、軍事力の影響力を抑えられます。
そして、その立役者が日本であれば、国際的な存在感も高まり、外交において有利に交渉を進められるでしょう。要するに外交をうまく進めるためのカードとして、海外援助の重要性は他国以上に高いのです」
ちなみに日本以外の先進国でも発展途上国に向けた支援策は講じられているのか。
「開発援助委員会(DAC)30か国のODA(政府開発援助)を実績支出純額(ネット)でみてみると、 2021年の約1850億ドル(確定値)から、2022年は約2060億ドル(暫定値)に増加しています。『日本だけが海外にお金をバラ撒いている』という評価は誤りです」
とはいえ、岸田政権になって以降、経済支援が活発になっている印象を受ける。その背景について森永氏は「コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な食料・エネルギー価格の高騰、イスラム過激派によるテロ、地球温暖化、難民の増加など、経済支援をする理由が増えたことが大きいです」と回答した。
軍事力や資源がないからこその一手
「日本だけバラ撒いている」ワケではない
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