更新日:2024年01月17日 18:48
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笑い飯・哲夫が教育本を出版。「親御さんに伝えたいのは『がんばらないでいい』ということ」

学校と家以外の居場所っていいじゃないですか

 若いころは、自分の進学については「自力でやりとげた!」と思っていましたが、ようよう考えてみたら周りに支えてもらってできたことなんですよね。若いころはそこに気が付かなかったので、今度は支える側に回れたらと思っています。勉強するだけではなく、困りごとを相談できて、居場所にもなる。学校と家以外の居場所っていいじゃないですか。ちょっと大人になった気がして。  そんな場所が増えたらいいなと思うからこそ、「寺子屋こやや」はゆくゆくは全国展開できたらいいなと思っています。今は大阪だけですが、先生をしていた後輩(ゆでたかの)が、長野県で「住みます芸人」をやっていて。それプラス小屋を借りて、子供たちに1回500円で学校の勉強を教えているんです。離れた場所でも同じ活動をしてくれている後輩の存在は心強いですね。
哲夫写真

「今度は支える側に回りたいと思って補習塾をはじめた」(哲夫)

 それに、なかなか笑ってくれない子どもを相手に、「勉強」というお題で笑いを引き出す方法を考えることで、芸人も話術が磨かれて自信がつくから、教える側が子どもたちを支えているだけじゃなくて、子どもたちに支えられてもいるんですよ。

親御さんに伝えたいのは「がんばらないでいい」「もっと周りに頼っていい」ということ

 とまあ、こんな感じで芸人をやりながら塾を続けていたら、週刊SPA!さんが僕の活動をおもしろがって「教育に関する連載をやってみませんか?」と声をかけてくれたんです。偉そうに教育論を語ったりはできないけども、悩み相談というかたちで、親御さんにアドバイスをするくらいならできるかなと思って引き受けさせていただきました。  その連載をもとにいろいろ加筆して、一冊のかたちになったのがこの本です。  仕事に育児に忙しくて、日々精一杯という親御さんも多いと思います。 そんなみなさんに伝えたいのは、「がんばらないでいい」ということです。自分で何でもしょいこまずに、人に任せたり、塾でも親戚でも近所の人でも、利用できるもんは利用したらいい。子どもがある程度の年になったら、子どもに頼ってもいい。小学校の高学年にもなると、友達同士で自分がいかに大人かをいいあったりするじゃないですか。『靴下は風呂場で洗ってる』『朝ごはんのパンは自分で焼いてる』て。自分のことを自分でできるのはカッコいいと教えることも教育ですし、生きるうえで一番大事なことですからね。  言葉遣い、学校生活、習い事、お金、性、進路、自我……さまざまなテーマの悩み相談をいただきました。参考になるアドバイスも、まったく参考にならん戯言もあるかもしれませんが、肩の力を抜いてお付き合いいただけたら幸いです。  首都圏では中学受験戦争が過熱し、親の経済力に子どもの教育環境が大きく左右される現状を指して「課金教育」という言葉も生まれている。子どもの教育にお金をかけられずに思い悩んでいる人も、課金教育に疲弊している人も、本書を手に取って、「がんばらない」コツを学んでみてはいかがだろうか。 (取材・文/日刊SPA!編集部)
’74年、奈良県生まれ。県下随一の進学校・県立奈良高校から関西学院大学文学部哲学科に進学。卒業後の’00年に西田幸治と笑い飯を結成し、’10年、M-1グランプリ優勝を果たす。『がんばらない教育』『えてこでも分かる笑い飯・哲夫訳 般若心経』ほか著書多数

がんばらない教育

格安補習塾を経営する哲夫による画期的な子育て論

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