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立ち飲み「晩杯屋」はなぜ安い?「人件費は抑えていない」驚きの店舗運営術に迫る

“せんべろ”のイメージがある場所でも、インバウンド仕様でちょっと割高な価格設定になっている店をよく見かけるようになった。猫も杓子も値上げが続くなか、安くて美味い店を求めて日々さまよっているワケだが、困った時の『晩杯屋』頼みになることは飲兵衛にとっての“あるある”ではないか。 立ち飲み屋として、2024年1月現在で都内を中心に40店舗以上(関東38店舗・関西5店舗)を展開する同チェーン。昨今の物価高に少なからず影響を受けているはずでも、不思議なもので『晩杯屋』は、我々のふところに優しいままだ。運営する株式会社アクティブソースの人事総務部に所属する鈴木悠理氏に「なぜ安い価格でも大丈夫なのか」と、率直な疑問をぶつけてみた。
晩杯屋

立呑み晩杯屋 武蔵小山本店

「自分が行きたい」と思える店を作った

2009年に武蔵小山で1号店をオープンした『晩杯屋』。どのような思いを持って始めた店だったのだろうか。自衛官や焼肉チェーン店の店長などを経験し『晩杯屋』をはじめた創業者から、鈴木氏は次のように聞いているという。 「休日に飲みに行くことが多かった創業者は、『一人で気軽に入れるお店が少ない』と感じていたそうです。例えばカウンターのある居酒屋でしたら、一品が数人で取り分けるような量でしたり。そこで、『ないならないで、自分で始めてしまおう』と思い立ち、立ち飲みの最高峰とも言われる、赤羽の『立飲みいこい』で修行をしたのち、開業に至りました」(鈴木悠理氏、以下同じ) 1号店はすぐに人気店となり、勢いそのままに2012年に2号店を大井町に。翌2013年には「広さが2号店の約5倍にもなる巨大な店舗」である3号店を大山店をオープンさせるのだ。さらなる躍進が期待されたのだが……。 「当時、創業者は『5倍の広さがあれば売り上げも5倍になる』と思ったそうです。ただ、現実はそう甘くなくオープン直後は赤字で、会社としてもピンチの状況になったそうです。当時については、ご本人も『考えが足りない部分があった。』と振り返っていらっしゃいましたね」 この頃まではまだ“知る人ぞ知る”程度の認知度だった。しかし、大衆居酒屋のイメージからかけ離れた街への出店が、世間から注目されるきっかけになる。 「中目黒に出店したのが2014年。『中目黒で大衆店は成功しない』という意見もありましたが、いざオープンしてみると沢山のお客様が足を運んでくれるように。取材されるようになってきたのもこの時期です」

人件費は抑えていない

晩杯屋

鈴木悠理氏

煮込み150円、ちくわ磯辺揚げ150円、レバフライ190円、レモンサワー290円など、他の店を圧倒する安さを保っているのが大きな魅力だ。なぜ、この安さが実現されているのだろう。そもそも駅前の好立地に多くの店を構えているのに、物件の家賃をどのように抑えているのか。 「物件探しは、一番苦労している部分です。我々が出店したい『15〜20坪の駅近路面店』がほしいのはどこも同じで。熾烈な争いが繰り広げられています。とにかく、時間と労力をかけて探し出す正攻法しかないという印象です。この部分に関しては親会社であるトリドールホールディングと連携して対応していますが、一定の費用が発生することは織り込み済で進めております」 では、人件費についてはどのようにコントロールしているのか。 「社員やアルバイトの人件費を無理やり抑えているということはありません。むしろ給料は毎年上がっていますよ。ただ、店舗運営の人数は少ないほうだと思います。その分、取り皿を提供しなかったり、同じお酒のおかわりは同じジョッキで出させてもらったり、料理もお声かけして取りに来ていただいたりと、ある程度サービスの部分を切り捨てているので、少ない人数でも回せる仕組みになっています」 ホームページの問い合わせ欄に「最少人数にて本社を運営しておりますので、アルバイト採用を除き、電話でのお問い合わせはご遠慮ください」との記載が。店だけでなく、本社の人員もコントロールされているようだ。 「本社機能は、『売上・利益を生み出すものではない』ので、店舗以上に人数を減らしており、具体的には社員・PA合わせて10名未満です。なので、本社勤務の従業員には色々なことをマルチタスクで対応してもらっています」
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安さの鍵は「仕入れ」にあった
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