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「東大合格はいくらで買える?」都市部で過熱する“課金ゲーム”に違和感も

「進学塾に通うのは当たり前」に違和感

 ちなみに、私は「世帯年収1,000万円は都内では普通」とする意見を聞くことも多いのですが、それは大きな間違いでしょう。総務省が2019年に行った「全国家計構造調査」によれば、47都道府県のうちで一番世帯年収の平均が高いのは、東京都でその金額は629.7万円です。都内平均の1.5倍以上もの収入を得ていて、「普通の収入」とはいえないでしょう。  もちろん、このような方の言い分はわかっています。それは、「子どもをSAPIXに通わせるとギリギリになる」とするものです。中学受験熱が白熱する都心地域では、もはや子どもを進学塾に通わせなければいけないとする異様な空気が漂っています。それは誰のための受験なのか、今一度、問い直したい。  今回のアンケート内では、東大生の出身地域についても尋ねています。この結果によると、東京と神奈川の出身者が全体の40%を占めていました。  これは由々しき数字でしょう。東京出身者と神奈川出身者、すなわち関東の首都圏出身者が全体の40%を占めています。前の世帯年収のデータと合わせて考えると、次のような結論が見えてきます。  それは、「東京大学は、首都圏地域に住んでいる、一部の富裕層だけの大学になっている」ことです。確かに、受験機会という面では東京大学は日本国内外を問わず広く門戸が開かれています。とはいえ、それは建前上のこと。首都圏地域の異常な受験熱に浮かされた一部の業界と、その信奉者のせいで、もはや東大は「重課金をしないと手が届かない大学」に成り下がりました。  もちろん、東大に合格する人はみな等しく努力をしています。資本主義をとった国として、大金を積んだほうが良いサービスを得られるのも正しいかもしれません。とはいえ、お金を積んだもの勝ちのゲームになるのは、本当に正しいことでしょうか。 <文/布施川天馬>
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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