高尾山にサンダルで登る危険な観光客も…。インバウンドで賑わう“観光地の住民”の悲痛な訴え
昨年秋頃からは円安も相まって海外からの旅行者も増え、もはやアフターコロナ、ウィズコロナという言葉も霞んでしまうほどに、コロナ前の世界に戻った昨今。当初は旅行業界を始め、インバウンドの復活に諸手を挙げて喜ぶ声が聞かれたが、その一方、旅行者の増加によって地元住民や自然環境に悪影響を及ぼすオーバーツーリズムが問題となっている。
新宿から特急で50分ほどと、都心から近い登山スポットとして近年人気を集めている高尾山。今までも高尾山に何度も登っているデザイナーのKさん(女性・35歳)は、現状についてこのように話してくれた。
「まさに『行きはよいよい帰りは恐い』といった感じで、ハイシーズンともなると下山するのに相当苦労します。登山客が多すぎてケーブルカーもリフトも満員で1時間近くの待ちになってしまうのです。しかも乗るための整理券をもらう窓口の前には人々がとぐろを巻くように集まり、整理券をもらうだけでも数十分かかります」
ならば歩いて登山道で下山すればいいのでは……と思うのだが、高尾山の登山客特有の問題がこうした混雑に拍車をかけているという。
「地元の方に聞いたのですが、観光客や登山慣れしていない人はサンダルやスニーカーで登ってしまうことも多いんです。たかが高尾山と高をくくって登ってみたところ意外とキツく、帰りは登山道での下山を諦めるという人が多いと聞きます」
交通機関がパンクするほどの人が来てしまうため、秋の紅葉シーズンなど、ハイシーズンの頂上は足の踏み場もないほど混雑するという。
「頂上の売店で食事をしようと思っても、出てくるまでに30分、40分かかることも珍しくありません。昨年の秋に登ったときには、焼いたお団子の屋台には100m近い行列ができていて、ここまできたか……と思いました」
下山が困難な高尾山
団子を買うために100m近い行列
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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