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「妻にバットで殴られ、刃物で切られた」男のDV被害、“報道されない”実態を支援者が語る

男性がDV被害者になったらどうする?

「本来ならば支援をする場所があればいいけれど、少ないのが現状です。各地自体の男女共同参画センターは男性の相談も受けていますが、本格的な支援ではありません。男性の支援もしているというアリバイ作りになってしまっています。女性からのDVで『怖い』『つらいんだ』と相談し、逃げ場や支援先を見つけて行くしかありません。日本家族再生センターでもDVモラハラホットラインを設置しています」  女性からのDVが始まったら、タイムアウトする・逃げるとしても男性用のシェルターはほとんどない。 「漫画喫茶やホテルに逃げて、距離を置くしかないですね。また、日ごろから、警察に相談しておくと警察も動きやすい。そうでないと(女性からのDVなんて)大したことねえだろうと思われてしまう。包括的にケアするには、心理学の知識だけではダメです。“社会を知る”ことが大切です。心理学では、貧困や差別などの社会病理は学びませんし、法律や司法の現実も学びません。また個々の家族の問題も教科書にはありません。家族の暴力は容易に連鎖するという生育の問題もあります」

法律では人の心は裁けない

日本家族再生センター

「日本家族再生センターではDV相談ホットラインを設置している」と味沢氏

 そんな味沢氏のDVセッションでは、内閣府はこれを禁止しているが、加害者も被害者も一緒に語り合う。 「今のDV支援は家族解体の方向でしか支援がないのが現実です。本来は、修復的な支援が必要なのです。離婚して家族が幸せなこともありますし、別居のまま幸せな家族もあります。家族の形は問題ではなく、相互扶助・相互理解ができればいいんです。弁護士は相互理解の邪魔になります。相互理解ができれば弁護士は不要になりますから、対立を煽る形になるのも当然で、お互いを傷つけて終わってしまう。法律では人の心は裁けません」  味沢氏の支援を通じて、DV問題を抱えていた夫婦が再生するのは、ごく普通にあるという。こじれる前に繋がってほしいとのこと。男性の約5人に1人がDV被害者になる現代で、被害に遭った男性や加害女性への支援先作りは急務だ。 <取材・文/田口ゆう>
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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日本家族再生センター
DVモラハラホットライン/075-468-3762
第二・第四土曜18時から21時(無料)
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