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暴力団から“飛んだ”48歳のその後。流転の末、日雇い暮らしに…組の人間の追跡に怯える毎日

家、子供の塾などが契約不可。元ヤクザの家族へのとばっちり

 多くの元ヤクザ中高年が抱えるもう一つの問題が、家庭への影響だ。「5年条項」の期間を経過しても企業の個々の判断により、不利益が及ぶことがある。  Aさん(40代後半)は5年前に暴力団を脱退した夫が自宅売却を断られ、理由は説明されなかった。そのため偽装離婚し、土地建物をAさん名義に変更。 「夫は自分のためにヤクザをやめてくれたし、仲もいいので、偽装でも離婚したくなかった。こんなことは孫に説明できない」  10年前に小さな組織の組長をやめた男性(40代後半)と「年の差婚」したBさん(20代)は、いまだに住所が組の事務所と認識されているという。 「家電が故障して、買った量販店に修理を依頼すると、『そこは暴力団事務所ですよね』と……宅配を断られることもあります」

「ネットで名前を調べられているのでしょう」

 Cさん(40代)の夫が脱退したのは20年以上も前だが、今も車のローンが組めない。夫は一度、事件を起こして報道されたことがある。 「ネットで名前を調べられているのでしょう」  Dさん(30代・2児の母)は夫の暴力団脱退後、5年たっても幼稚園や学習塾の契約ができない状態だ。 「クレジットカードが突然、スーパーで使えなくなり、恥ずかしい思いをしたこともあります」  あくまで5年は「目安」。家族ともども、曖昧な運用に振り回されているのが現状だ。
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元暴力団員が契約困難なもの
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