更新日:2024年04月23日 22:44
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「ジェットスター・ジャパン」でストが頻発する理由。ライバルのLCC・ピーチとの違いとは【訂正アリ】

血の滲むような労使間闘争の結果

 組合はX(旧ツイッター)などSNSやYouTubeチャンネルを使った告知を頻繁に行っているがどこまで活用ができているか未知数だ。  筆者が知る限り、外資系エアラインで勤務する日本人パイロットからの激励の発信が多かった。彼らの中には国交省の日系エアラインに対する抑圧(私見)に耐え切れず、海外に出た優秀なパイロットも多いと感じている。  彼らは一様に、JCAを真摯に応援している。ある機長は、米国のパイロットの過去の労使交渉を引合いに、現在のパイロットの地位向上は、過去の仲間の血の滲むような労使間闘争の結果に得られたものと説明した。  JCAの報告に「そこには弁護士を立てなければ」とのアドバイスもあった。JCAはどこまで理解したのかは、連絡が取れていない以上知るよしもないが、マスコミを避けるのではなく、協力を仰いで味方にしてほしかったと考える。

競合「ピーチ アビエーション」の事例

 筆者は、この騒動がLCCで起きたことを懸念した。LCCだからコストを削減するために人件費まで削減したのでは、安全性を保つことはできない。そうであって欲しくないというのが偽らざる願いだ。  そこで、同社のライバルになるピーチ アビエーションの実態を知るべく、同社広報部に確認すると、次の回答を得た。「弊社には組合組織はありません。社員の立候補による『社員代表』が存在し、会社側と定期的に待遇改善なども議題にし、改善を図っています」と聞かせてくれた。  具体的な交渉内容を聞くと「過去には、有期雇用社員を無期雇用に変更した事例があります。また、コロナ禍での客室乗務員職は、仕事が蒸発したために、副業制度を設けました」と説明してくれた。  同社は、客室乗務員の採用に経験は全く求めていない。「オーディション」と名付けた採用では、多職種からの応募があるという。それがコロナ禍では功を奏した。元の業種に戻って働くことのできた社員がいたのだ。ピーチアビエーションの社長以下執行役員も含めた人事政策はES(Employee Satisfaction=従業員満足度)の考え方が根付いているという。
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エアラインに求められるモノとは
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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing

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