仕事

「ちゃんと注文を取りにこい!」と激怒する年配客も…。飲食店の“タブレットオーダー”に対する「店と客のホンネ」

使いづらいシステムや細かい注文に対する不満も

スマホオーダー

LINEと連動しているシステムの場合、気をつけないと知らぬ間に友だち追加してしまうケースも…

 しかし、もちろんのことながら不満の声も聞かれる。特に多く聞かれたのは、システム上の問題だ。 「たまにものすごくデキの悪いオーダーシステムのとこってあるじゃないですか。『注文する』ってボタン押して注文できたと思ってたら、最後に『確定』のボタン押してなかったから注文できてなかった……なんてこともありましたね。誤発注防止のためなんでしょうけど、手間が増えると客のストレスは増えるので、導入するときにちゃんとチェックと検証をしてほしいですね」(30代 会社員男性) 「最近は細かい注文ができるシステムも増えてますけど、苦手なものとか抜いてほしいときにスマホオーダーだとできないみたいな。チャーハン注文したいけど、グリーンピースは抜いてほしいとか(笑)。それで店員さんをいちいち呼んじゃうと、なんか悪いなぁって思ったりしますね」(20代 大学生女性) 「チェーン系のお店ならいいんだけど、ちょっと高級なお店でタブレット出されると、やっぱり萎えるなぁ。導入するお店は客層をしっかり判断して導入してほしい」(40代 会社員男性)

便利さゆえに生まれた意外な不満

 これらのシステムは特に女性からの評価が高い傾向にあり、従業員を呼ぶことに抵抗を感じるようになったという声は多く聞かれた。細かい注文が可能なシステムも最近は増えているのだが、それについてラーメン店の店長からのこんな声もあった。 「麺の硬さ、味の濃さ、脂の多さをこれまでは聞いていたんですが、スマホオーダーにしたらそれも全部やってくれるようになった。前までは『麺カタ、コッテリ、味は少し濃い目で!』とか『麺と味はフツー! 超コッテリで!』とか、お客さんの注文が響くとテンション上がるんですよ。外国人のお客さんも“勉強”してきてくれて、片言の日本語で『メンカタメ……アジィ、フツゥ……コッテリィ?』みたいに頑張って言ってくれたら、こっちも『オーケー! オーケー! 麺堅め、味普通でコッテリね!』って返して、お互い笑い合ったりね。そういったことがなくなって……たしかに便利にはなったけどなんかしっくりこないですよね」(ラーメン店 店長)  便利になればなるほど新たな問題は出てくるとはなんとも皮肉なことである。店員とのやり取りも食事をするうえでは、大きな楽しみの1つであることも今回の取材では強く印象に残った。  もちろん、システムの開発者たちはこうした不満の声があることを知っているだろう。デジタルの便利さとアナログの楽しさがうまくハイブリッドしたシステムが誕生するのも、そう遠くないのかもしれない。開発者たちの新たなソリューションに期待したい。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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