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日本でしか通用しなかった「世界の亀山モデル」。液晶で伸び、液晶で散った悲しいシャープの歴史

ディスプレイ需要の低調で業績が悪化

 しかし23年3期、と24年3月期は営業赤字となり、1,000億円単位の減損損失を出したことで最終損失はそれぞれ2,608億円、1,500億円と大幅な赤字となりました。コロナ禍におけるスマホ需要の低迷や、21年度以降のパソコン需要停滞に伴う液晶需要の減少が主な要因です。鴻海傘下で高コスト体質を解消したとはいえ新たな製品群を生み出したわけではなく、シャープの液晶依存体質は変わっていませんでした。  業績悪化を受け、今期は堺工場での大型パネル生産を取りやめる方針です。また、スマホ・パソコン向けの中小型パネルも減産する計画を発表しています。テレビ生産から撤退するわけではありませんが、アクオスの一部モデルの液晶は外部調達になるとみられます。  規模縮小策により今期の売上高は10%減の2兆1,000億円を見込んでいます。液晶パネルのシェアは現在、中国がシェアの7割を握り、過去にシャープを追い抜いた台湾、韓国勢も地位を落としました。シャープが再びトップに返り咲くことはないでしょう。液晶で咲き散ったシャープは国産家電メーカーが見せた最後の栄光となったわけです。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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