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“58歳で発達障害” 通告のフリーライター「診断結果を伝えたら、音信不通になった友人たちも」

新型コロナウィルスの蔓延で失職し生活に困窮

「安いから」と紙タバコから巻きたばこに変えた

仕事面では、順調だった桑原氏だったが、2019年末からの新型コロナウィルスの流行で生活が一変した。外出自粛要請の影響もあり、広告業界は広告費を抑えるようになる。桑原氏は、取引先を失い生活に困窮するようになった。 「今でも食事は1日2食です。某コンビニエンスストアのカレーは、3食で100均ショップのカレーよりも安いんです。今は、そのカレーばかり食べています」  桑原氏は、多くの物が並んでいると、選ばなければいけないという焦りや情報量の多さから、パニックを起こすという。それなので、食材を買いに行けるお店は限られている。そんな中で、通院していた精神科病院の医師が引退し、転院をよぎなくされた。

大学病院で下った発達障害診断

 転院先の大学病院では、初診時は、1時間以上かけた、医師の問診とチェックリストの記入が待っていた。2回目の診察で下ったのは、自閉スペクトラム症(ASD)注意欠如多動症(ADHD)の併発という結果だった。

大学病院の診断書

「『はあ?』と思いましたよ。僕は、発達障害というと、イーロン・マスク氏のようなギフテッドにしか下らない診断というイメージを持っていました。だから、『僕の才能は何ですか?』と聞くと、カウンセラーが『30年も書いているんだから、あなたの才能は文章です』と渋々答えてくれました」  そんな桑原氏に医師は手厳しかった。 「『生活が大変なんです』と言ったら『これからどうするんですか?』と聞かれました。『どうしましょうかね?』と答えると『さすがADHDですね。計画性ないね!』と言われました」  桑原氏の幼少期には、発達障害という概念自体がなかった。発達障害者支援法が日本で施行されたのは2005年だ。まだ新しい概念だ。桑原氏は驚きから、長年一緒に仕事をしてきたデザイナーに知らせたが、彼女に驚きはなかったという。 「“外出先の道端であっても地面にバッグの中身を全部放り出して財布を探す”、“独り言を言いながら駅のホームを歩き回る”、“仕事中、カッとなるとパソコンを叩き壊す”、“会話していると文脈を無視して急に話題を変える”など、自分の特性を列挙されました」  今、振り返ると、発達障害の特性だと思えるものは思い当たるという。 「飲み会やカラオケ、キャバクラなんかも、1回目は誘われるんです。だけど、2回目以降は誘われなくなる。何かその場に合わないことを言っていたんでしょうね。20~30人の集団がとにかく恐怖でした。コミュニケーションが苦手で、雑談ができません
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発達障害の診断を受けただけで自分は変わらないのに
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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