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銭湯で「露天風呂を占拠して騒ぐ」迷惑な若者客たち。“腕っぷしの強そうな客”に「お前ら周りを見ろ!」と一喝された結果…

脱衣所をビショ濡れにしたせいで喧嘩に発展

 銭湯でのトラブルは浴室だけでなく、脱衣所でも発生する。特に多い……というよりほぼ毎日起こっているであろうものは、タオルで体をよく拭かないまま浴室から出てきた客が、肌に残った水滴を飛び散らせて床を濡らしてしまう場合だ。  浴室から出る際は、手持ちのタオルや手拭いなどで出来るだけ体や髪を拭いてから、というのがマナー。それでも拭いきれない箇所はどうしてもあるし、多少の水滴が垂れるのはやむを得ないだろう。しかし、歩いた後にそのまま小川ができるほど体中ビチャビチャなのは、いかがなものか……。  コレが喧嘩に発展してしまった例に遭遇したことがある。中年男性が体を拭かずに浴室から上がり、脱衣所の床はびちょ濡れに。それに御老人が「ちゃんと体を拭け! そんな事も分からんのか!」とご立腹になり、中年男性側も老人の口ぶりに逆上。剣呑な状況は銭湯店員に制止されるまで続いた。  なお、銭湯の脱衣所には大抵、床拭き用のモップが置いてある。客も自由に使えるようになっており、床が濡れたらこれで拭けば良いのだが、拭いてすぐ別の客に濡らされることも度々である。せっかく良いお湯で疲れを落としたのに、その直後に別種の疲れと徒労感がやってくるのは本当に悲しい。

「いい湯だな♪」はいい入り方をしてこそ

 このほか、銭湯マナーとしては「湯船に入る前に体をよく洗い」「タオルを湯船に漬けない」「浴室内で洗濯しない」「髪を染めない」「カラン(洗い場)の場所取りしない」などが代表的だ。近年では盗撮防止の観点から「脱衣所でスマートフォンなど電子機器を使わない」も周知が進みつつある。  これらマナーが必ずしも徹底されていないのは、今まで書いたとおりである。しかしそれらも、銭湯の客層や銭湯自体を取り巻く環境が大きく変容する過渡期のなか、以前は常連同士で暗黙の了解となっていたルールが変化・途絶しているゆえの現象かも知れない。  銭湯マナーは浴室内ポスターのほか、東京都浴場組合といった業界団体のホームページにも掲載されている。このようなマナー啓発の機会を新規客向けに増やし、時には銭湯に慣れた人が落ち着いて声掛けするなど、「知ってて当然」ではなく「新たに知ってもらう」接点を増やすことが大事だろう。  また、こうしたルールは徐々に若年層にも浸透しつつあるようだ。銭湯で先日見かけた若者グループは話し声こそ若干目立っていたものの、騒ぎ過ぎたら自発的に注意・自制したり、他の客が浴槽に入ってきたらスペースをゆずったり、周囲への気配りや礼儀が行き届いている雰囲気であった。  同じ湯船に入っている若者と年配客が、長年の知り合いかのように仲良く語らっている様子を見かけることも増えた。こうした交流を通じて、銭湯でよくくつろぎ、よくととのう最大のコツが「ゆずり合い」と「気くばり」にあると広まってくれることを期待したい。   <TEXT/デヤブロウ>
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
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