セックス依存症に陥った男性が赤裸々告白する半生「セックスの際に、“豹変する”と女性から言われていました」
「集英社グランドジャンプめちゃ」で連載中の、セックス依存症を発症した作者の実話をもとに創作された漫画が『セックス依存症になりました。』だ。自身の行動をコントロールできなくなり、日常生活に大きな支障をきたす状態を依存症という。アメリカでは、成人の約3%から6%がセックス依存症に該当する可能性があるとされている。依存症は大きく分けて、アルコールや薬物などの「物質への依存」とギャンブルやセックスなどの「プロセスへの依存」の2種類がある(厚生労働省「依存症についてもっと知りたい方へ」より)。共著者で作画担当の津島隆太氏にその実態を聞いた。
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津島氏は、父は大手企業の会社員だったが、アルコール依存症だった。酒を飲み、殴る蹴るをする父に、母は共依存し、逆らわずお酒を運んでいた。母は、子どもの津島氏に「私、子ども、嫌いなのよね」というような女性で、両親ともに子どもの教育に厳しかったという。
なぜ、自身の経験を漫画にしようと思ったのか聞いた。
「子どもの頃から漫画家になりたいと思っていました。描こうと思ったのは、回復過程で、セックス依存症の問題を社会的に訴えたいと思ったからです」
漫画家を目指していた津島氏だが、親の希望により高校卒業後は服飾専門学校に進学。親のコンビニ経営を手伝うために、実家に戻るが、20代後半の時にコンビニが倒産する。そこから20年弱は、漫画家のアシスタントとして、ブラック労働に従事した。それが、セックス依存に陥るきっかけにもなった。
アシスタントの仕事は、忙しい時期は、週5日の泊まり込みだった。月収は15万円に届かず、作家さんが休みになると、無職になるという不安定な環境だった。そのストレスから、うつ病を発症し、精神科病院に通院するようになる。
「抗うつ薬を2年半服用していました。それで、双極性障害のようになっていました。最初は、仕事のストレスを発散するために、出会い系アプリを始めました。最大で7人のレギュラーメンバーの女性と毎週会っていました」
ブラック労働や、会社の重役など、ストレスフルな人は、なる可能性が高いという。そんな生活の中で、津島氏はだんだんと、自分の性欲をコントロールできなくなっていった。
「配慮のあるセックスができなくなっていきました。安心・安全な行為では興奮しないし、逆に悲しくなったり、つらくなったりしました。セックスの際に、“豹変する”と女性から言われていましたが、“性的に強い”と言われているように感じました。口調や行動が荒くなっていきました。時と場所も選べなくなり、多目的トイレや廃墟でもしました」
依存症になると、自分のリスクを考えられなくなる。避妊をしなくなるなど、倫理観もおかしくなっていった。だが、依存症は「否認の病」だと言われる。自分が依存症だと認めることは怖かったという。そんな津島氏が、本当に「まずい」と分かったのは、30代後半から付き合いだした女性との壮絶な別れ話がきっかけだった。
セックス依存症について社会に訴えたかった
ブラックだった漫画家アシスタントの仕事は時給500円以下
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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