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「身分証がなくてもわかるだろ!」“迷惑老人”に苦しむ携帯ショップ店員の嘆き。「本社に報告するからな!」と言われても…

「俺は元県議会議員だ!身分証がなくてもわかるだろ!」

高齢者 また別の日のことである。高齢の男性客に本人確認書類の提示を求めたところ、運転免許証を差し出したが、その有効期限は半年前に切れていた。  そこで「別の本人確認書類をご提示ください」と伝えると、彼は突然激昂したのだ。 「俺は元県議会議員だぞ! 俺のことがわからんのか!」  まるで大物政治家のような態度である。 「私たちは『申し訳ありませんが、どのような方でも一律で本人確認書類の提示をお願いしています』と説明しました。しかし納得してもらえず、『俺が嘘をついているとでも言うのか? こんな小さな街で俺を知らないなんて、お前らの頭がどうかしている!』『俺は昔、この市の発展にも貢献してきたんだぞ! 俺がいなかったらこの店もなかったかもしれないんだぞ!』などと言い放ったんです」  だが、山下さんはその顔や名前に見覚えがなかった。首をかしげていると、男性は「もういい! こんな店は二度と来るか! 本社に報告するからな!」と吐き捨てて出ていった。  警察に情報提供を行いながら、いちおう“元県議”の存在を聞いてみたが、警察も「知らない」という。どうやらそれも嘘だったようだ。

自分の非を認めずに逆ギレ!

 高齢の女性客が「携帯の電源が入らなくなった」とショップを訪れた。確認のために電池パックの蓋を開けると、水濡れを検知するシールがしっかり反応し、内部にも水滴が残っていた。 「スタッフが『これは水に濡れた形跡がありますね』と言って、そのシールと水滴を見せて説明したのですが、『私は絶対に水に濡らしていない! 朝は普通に使えていたのに突然壊れた! すぐに新品と交換しろ』と主張してきました。さらに『購入時にもともと濡れた端末を押し付けられた』など、ワケのわからないことまで言い出す始末です」  押し問答が1時間ほど続いた頃、突然、彼女の娘と思われる女性が店に駆け込んできた。そして、衝撃の事実が明かされる。 「じつは、その家で同居しているお孫さんが、お湯を入れたカップに携帯を落としてしまったそう。すぐに拾い上げてテーブルに置いておいたものの、持ち主である彼女には伝えていなかったとのことです」  娘が経緯を説明しても、スタッフに対して一切謝ろうともせず、「そんなの知らない! 他社に乗り換える!」とヒートアップ。そのまま店を出ていったという。 「高齢者の場合は、いまだに“お客様は神様”だと思っているお客様も少なくないと思います」  携帯ショップの裏側では、スタッフたちの知られざる苦労もあるのだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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