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西友の買収で「小売業界6位の巨大チェーン」が爆誕。総合スーパーの課題「アパレル・雑貨」の販売不振を乗り越えられるか注目

「郊外型」と「都市型」で相互補完する、理想的な買収

 トライアルが買収した一番の狙いが立地。西友は関東圏を中心に駅近物件を数多く保有しています。トライアルは千葉市や茨城県笠間市、栃木県小山市などに出店をしていますが、東京に店舗はなく、郊外型が中心。西友の買収によって人口集積地である関東、中部、関西エリアの事業基盤を迅速に構築することができました。  これまでの小売業界は、消費者の声に応えるべく物流に多少の無理が生じても要望をかなえるという常識がありました。ところが物流業界にも働き方改革が導入され、無理がきかなくなってきました。一方で消費者が求めるものを素早く提供しなければ、競争力が失われてしまいます。  小売業界は物流の効率化が、成長に向けた一つのキーワードになっているのです。トライアルと西友の物流ネットワークを統合することにより、シナジー効果が創出されるでしょう。  トライアルは郊外型の大型店、西友は都市型の中規模店を得意としています。商圏が重なって顧客を取り合うカニバリゼーションが起こりづらく、相互補完を図るM&Aだと見ることもできます。

「一番の特徴」は、西友でも活きるか

 トライアルの一番の特徴はデジタル化を推し進めていること。「Skip Cart」というシステムを取り入れ、商品を顧客がスキャンして決済ゲートを通過すれば会計が完了する仕組みを導入しています。レジ待ちがなく、端末上にはクーポンなどのお得な情報も表示されます。  購買データは生産や調達計画、物流の効率化に活用でき、サプライチェーンの最適化も図ることができるのです。  ただし、導入費用や顧客の利便性の観点から「Skip Cart」を西友にそのまま導入するのは難しいかもしれません。データの一体化が、効率化を図る一助になるでしょう。
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「食料品以外の販売不振」を乗り越えるには…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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