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急増する“大学入試の年内化”は「貧困層だけにデメリットがある」理由。“一部の学生”だけが有利な状況に

一貫校の学生がより有利な状況に

一貫校の学生がより有利な状況に

※画像はイメージです

 このように、進学校や進学塾には、それなりのノウハウがある。もちろん、これを可能とするレベルの高い学生が集まることも要因ですが、「システム」自体で差がついています。  中高一貫校のほとんどは私立であり、入学には試験による選抜が課される場合がほとんど。となれば、やはり幼少期からの厚い教育投資がなされる子どものほうが有利なのは言うまでもないでしょう。  現状より受験シーズンが早まった場合、もちろん今より早く受験の準備に取り掛かる必要ができます。受験準備が早期化するといえばそれまでですが、一貫校の学生とそれ以外とで大きな差がつくことは想像に難くない。  高校側にカリキュラムを変えろとお願いするのは無理ですし、それこそ文部科学省が懸念していた事態に陥りますから、高校もそのような授業計画は組まないでしょう。  つまり、「教育の質」ではなく「システム」によって有利不利ができてしまう。これは、平等性の観点から見て、あまり喜ばしいものではないでしょう。

学力試験の年内化は大学と受験生の双方に利益はあるが…

 ただ、理想に反して年内入試化は以後進行し続けるでしょう。  今回反発を生んだのは「学校推薦型であった点」とされており、東洋大学は総合型選抜枠への変更を検討すると発表しています。文部科学省も年内入試で学力を担保するよう要請しており、それに沿う入試方式でもある。  大学にとっては年内に志望者が確定すれば入学金など予算の確保が容易になり、受験生からしても早期に受験できれば滑り止め確保、本命への複数トライなどが可能になり嬉しい。  実施例もすでにあり、関西圏の私立大学群では学力試験を伴う総合型選抜が珍しくないようです。  学力試験の年内化は、大学と受験生の双方にとって利益をもたらすように見えます。となれば、反対するのではなく、これに対応するような仕組みを作るべきでしょう。  問題点は「カリキュラムが終わらないこと」でしたから、年間授業計画や指導要領を変更するといった対応策が妥当かもしれません。とはいえ、結局現場の先生方に負担を強いる変革となります。一層教員の成り手が少なくなる可能性は十分ある。  教育以外の部分で様々な思惑が絡んだ結果、教育現場にしわ寄せがいくのは、なんとも悲しむべきことではないでしょうか。 「お金と教育」を考える機会が多い私ですが、マネーゲーム化した昨今の受験現場は、本当にあるべき姿なのでしょうか。
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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