【サル VS 静岡県民】被害者は100人以上! 噛みつきザルを捕まえろ!
近年、シカやサルなど、野生動物による被害が全国各地で相次いでいる。農耕地や山間部で偶発的に起こるようなものだけでなく、被害発生地は市街地にまで広がっているのだ。森林に関する研究を行う独立行政法人森林総合研究所の小泉透野生動物研究領域長によれば、「野生動物が適正レベルを超えて増えてしまったことが原因」だという。現像の背景はハンター人口の減少と高齢化、暖冬による降雪の減少などさまざまだが、自然保護行政の対応が遅れたことも大きな要因になっている。
「かつては多くの野生動物が絶滅の危機に瀕していたこともあって、保護して増やすというのが行政の対応だったのです。ですが、増えた動物をどのように個体数調整するのかの方針転換が遅れてしまった。対応が後手に回っているのが実情なのです」
たとえ見た目はかわいくても害獣はペットではない。今や日本中で激しい攻防が繰り広げられている!
【サル VS 静岡県民】(前編)
被害者は100人以上! 噛みつきザルを捕まえろ!
静岡県三島市で最初の”噛みつかれ”被害が発生してから、約1か月の間に100人もの犠牲者を出した「噛みつきザル」。事態を重くみた三島市では、20万円の懸賞金をかける騒動にまで発展した。そして、被害発生から数えて50日目、ようやく三島市川原ケ谷の民家に閉じ込められた「噛みつきザル」は、同市職員と三島署員の手で捕獲され、騒動は終息に向かった。
実は、捕獲が難航していた9月中頃、SPA!編集部は「サルを捕まえて20万&スクープをゲットしよう」と野心に燃え「SPA!サル捕獲隊」を結成し、現地に赴いていたのだった。今回は、その捕獲計画の一部始終を報告する。
9月某日、まずは現地の情報を集めようと三島市に問い合わせると、「一般市民が捕獲すると重罪に問われます」と、懸賞金をかけたとは思えない一言が。なんでも資格や許可を持たない人間が保護動物を捕獲することは違法で、今回のケースはあくまで”(侵入してきたサルを)屋内に閉じ込めた場合”のみだという。網も縄も檻の使用さえもダメ。しかも現在、サルは三島市を追われて富士宮市に潜伏中とも。
「富士宮で捕まえても懸賞金はナシですよ」(三島市職員)
いきなり暗礁に乗り上げた捕獲計画。なんとか突破口を開こうと日本モンキーセンターの加藤章園長に尋ねると、「この時期は柿や栗でおびき寄せるのが効果的」との回答を得た。そこで苦心の末に編み出したのが、「サルの着ぐるみとエサでおびき出し、車に閉じ込めて三島市へ輸送」作戦。これならイケる……はず。「サルは大人の指さえも噛み砕きますので気をつけてくださいね」(加藤園長)という言葉に一抹の不安を覚えつつも、いざ静岡へ!
時刻は早朝4時。勢いで現地に乗り込んだはいいものの、とにかく富士宮市は広い。そこで、地図でこれまでの出没ポイントを繋いでみたところ、ヤツは市内を逆時計回りに徘徊していると判明。どうやら市街地で暴れまくった後、市職員に追い詰められて現在は山に囲まれたエリアで一息ついているらしい。最後に目撃情報があった「B&G海洋センター」で張り込むことにした。だが、早朝の富士山麓にはサルどころか人の気配すらない。背後には富士山が異様な存在感を放ち、月が妖しく闇を照らす。早くも心が折れそうだ。
これまでの噛みつきザルの目撃情報をもとに、逃走ルートをシミュレーション。
市街を逆時計回りに迂回しながら山あいを進んでいるが、泳ぎの苦手なサルは
富士川(図左端)を越えられないと仮定。最終目撃地から芝川駅(図左下)の間で網を張ることにした
苦心の末編み出した、サルの着ぐるみでおびき寄せる作戦(左)と、
車中に柿やりんごなどサルの好物を置いて、中に入ったら閉じ込めてそのまま三島市へ輸送する作戦(右)
― ここは日本か?[人間VS野生動物]泥沼の市街戦【1】 ―
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