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意外と知らない『うつ病』で起こる身体的な症状とは?

仕事もプライベートも何かと忙しい30代。しかし、「忙いから」と健康を疎かにしていると、気がついたときには「すでに時遅し」となりかねない病気にかかってしまうことも。日常生活で見過ごしがちな“体の異変”を察知できるかが大事になるのだ。各分野の専門医の警告と、体が発する“サイン”に耳を傾けるべし!

◆原因不明の頭痛や腹痛、腰痛が続く、歯茎が痛い、口の中がネバネバ、舌先がしびれる ⇒ うつ病の可能性

うつ病 うつ病が恐ろしいのは、自殺のリスクだ。日本では年間の自殺者約3万人のうち、半分以上をうつ病患者が占めるという。しかも、うつ病の自覚症状は「やる気が出ない」「気分が落ち込む」といった精神面の変化だけではない。

「自殺者の1割は内科への通院歴があると報告されています」と東京医科歯科大学の西多医師が言うように、まず体調に異変が起こることが多いのだ。

「例えば頭痛や腹痛、腰痛などの症状が続き内科を受診したけれど、検査結果に特に異常はない。処方された薬をのみ続けても一向に症状が改善されない。そこで精神科の受診を勧められ、やっとうつ病が発覚するわけです」

 まさかうつ病だとは思わない意外な症状はほかにもある。それは、口の中に起こる感覚異常だ。

「専門用語で『口腔内セネストパチー』と言うのですが、主な症状は『歯茎が痛い』『口の中がネバネバする』『舌先がしびれる』など。虫歯の痛みとは明らかに違う、妙な違和感が消えないんですね。悪化すると、『口の中に虫がいる』などと訴える人もいます。こうした症状が口腔内に表れる原因は研究中ですが、脳の異常によるものであることは間違いありません」

 当然ながら、こちらも歯科を受診しても異常は認められない。基礎疾患であるうつ病を治療しなければ、悪化の一途を辿るだけだ。

「この症状のやっかいな点は、精神面にも変化が表れていても、患者本人が『口の異常が治ればすべてよくなる』と思い込んでしまうこと。そのため、歯科ばかりを何軒も巡っているうちに、うつ病が重症化してしまう患者さんが大勢います。頭痛や腹痛にしても、原因不明の体調不良が続いたら、とにかく早めに大きな病院を受診しましょう。病院に行くキッカケが掴めない人は、睡眠と体重でセルフチェックをしてください。睡眠時間が短くなったり眠りが浅くなったり、体重が減り始めたりしたら、迷わず病院へ行くべきです」

 うつ病が脳の病気である以上、どんな体調不良でも起こりうる。そのことは肝に銘じておこう。

【西多昌規医師】
東京医科歯科大学。精神科医・医学博士。東京医科歯科大学を卒業後、ハーバード・メディカル・スクール精神科研究員を経て、現職。近著に『「器が小さい人」にならないための50の行動』(草思社)

― 30代[死に至る病]の微妙な兆候【15】 ―




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