更新日:2017年11月27日 23:25
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鉄道写真家が見た被災地鉄道の今

東日本大震災による津波の被害でズタズタなった路線もあれば、まったく被害がなかった路線もある被災地の鉄道。線路跡をアスファルトで舗装しバス専用道路に転用する試みも始まっているが、専用道路の整備に加えて新たな駅舎や線路の設置など、まだまだ道のりは遠い。そんな被災地の鉄道の現状を、鉄道写真家が静かに語った―― MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 佐々倉実=写真 Photographs by Sasakura Minoru 被災地 先日、鉄道写真家の佐々倉実氏が、1週間かけて三陸沿岸(八戸-仙台間)の鉄道の現況を取材してきた。 MJ:今の被災地は? 佐々倉:市街地からはがれきの撤去が進んでいて、草地化が進んでます MJ:草地ですか…… 佐々倉:清水さん、被災地へは? MJ:震災の翌月、陸前高田へ行きました。あの時はひたすらがれきの山でしたけど、それでも恐ろしいほどの静謐さ、毅然とした清潔感が漂っていて、日本人の耐える力の強さを思い知りましたね 佐々倉:陸前高田は、今回僕が行った時は奇跡の一本松が切られる寸前だったんです。一本の木の再生に1億ナンボもかけて、ってう声もありますけど、僕は必要だと思いました。あれがないと、あまりにも何もなさすぎる MJ:なるほど 佐々倉:見ると救われるんです。鉄道にも、それに近い部分があります MJ:高速道路を見ても癒されないけれど、鉄道を見ると救われる。なぜでしょうね 佐々倉:心のよりどころだからでしょう MJ:で、三陸の鉄道の現状は 佐々倉:……場所による違いがあまりにも激しいんです。まったく被害がない区間もあれば、すべて流されて、何もなくなってしまった場所もある MJ:草原化、ですか 佐々倉:陸前高田、気仙沼、大槌……。草が生えているだけです 【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/323530 【佐々倉実/鉄道写真家】 年間100日以上車中泊の鉄道写真家。30万km超のボンゴ・フレンディに車中泊し夫婦で鉄道撮影紀行人生を送っている。作品に『日本の新幹線・特急 ハイビジョン映像と走行音で愉しむ鉄道の世界』(ブルーレイ&DVD、シンフォレスト)、『全線全車種全駅 新幹線パーフェクトガイド』(講談社刊)など ― 鉄道写真家が見た被災地の鉄道の今【1】 ―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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