最近の円安には警戒が必要

昨年末から年初にかけ、為替が円安で推移している。歴史的な円高から急激に円安が進んだように思えるが、ビッグマック指数や実質実効為替レートで考えると、実は“歴史的円高”ではなかったということがわかるのだ

⇒【前編】はコチラ

◆ビッグマックで見れば、円は売られすぎ。実効為替レートで考えれば今までも円高ではなかった【後編】
(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

 前編での話は、ドル/円、ユーロ/円の2つの通貨ペアだけで考えたが、日本が貿易しているのは米国とユーロ圏だけではない。そこで、世界中の通貨ペアを、それぞれの国との貿易額で加重平均して計算される「実効為替レート指数」というのがある。さらに、物価の変動率(インフレ率)で調整した「実質実効為替レート指数」を計算することができる。これは、ビッグマックで行った簡単な計算を、多くのモノやサービス、貿易相手国を考慮して行い、円高なのか円安なのかを総合的に判断する指数である。

 この実質実効為替レート指数で見ると、円は実は過去20年間の平均と比べてまだ安いことがわかる。’94年頃は異常な円高であった。そして、’05~’07年頃が異常な円安で、リーマン・ショック以降の為替の動きは、この異常な円安が是正される過程だとも考えられるのだ。もちろん為替レートはさまざまな要因で動くので、これから円が元に戻っていくかどうかはわからない。しかし、少なくともこの2か月間の円安方向への急激な動きは、異常な円高が是正されているプロセスではない、ということは知っておくべきだろう。

【今週の数字】
ビッグマック指数
1ドル=74円
日本のビッグマックの値段は320円。米国では地域によって違うが、英エコノミスト誌の調査によると平均約4.33ドル、ユーロ圏は約3.58ユーロ。これらから算出すると、1ドル=74円、1ユーロ=89円となる

為替レート

世界各国の為替レートを貿易額で加重平均し、インフレ率で調整した「実質実効為替レート指数」で見ると、’08年のリーマン・ショック以降の為替水準でも、まだ円安だったといえる(出所:日銀)

【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは7万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中

― 実効為替レートで考えれば今までも円高ではなかった【2】 ―

外資系金融の終わり

世界経済を牛耳っていた外資系金融の終わりのはじまり




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