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韓国人は今のK‐POPに満足していない

ここ数年、日本でも徐々に盛り上がってきたK-POP人気。ファンにK-POPが好きな理由を聞くと、大抵は「歌やダンスのレベルが高い」、「曲がかっこいい」、「ルックスが良い」などの答えが返ってくる。確かに邦楽とは違った魅力が人気の秘密といえよう。だがひと昔前のK-POPの前ではそれも霞むようだ。10年以上前からK-POPを追い続けてきたファン、田代さん(仮名)は語る。

「実力派シンガーソングライターが続出した日本の80年代と似ていて、90年代の韓国歌手のレベルは今と比べ物にならないぐらい高かった。アイドルであろうとも、一定の歌唱力がなければデビューできなかった。韓国国会議員が国会で『口パク禁止』を提案する現在とはもちろん大きく異なりますね。また現在の韓国歌手のスキャンダルといえばグループの内紛ばかり目立ちますが、90~2000年代は過激な歌詞で発禁になったり、反体制色を打ち出して話題をさらうケースが多かったですね」

当時の韓国音楽業界は、数多くのアーティストが活躍していた(アーティストリストは文末参照)。

「海外への輸出も特に意識していなかったため自由度が高く、アーティストの個性がそれぞれ生かされていたような気がします。実は韓国人も今のK-POPを全面的に支持しているわけではないようです。今のK-POPがあまりに刺激が少なく、ネット上では『90年代に戻ってくれ!』という声も結構見られますから。またひと昔前に人気だった歌手の中には、30代になったばかりの人もおり、その才能を埋もれさせるのはまだ早い。今、人気のK-POPもいいですが、90~2000年代歌手にはもうひと頑張りしてほしいところですね」(田代さん)

日本人が思っているほど、当の韓国人は今のK-POPに満足しているとは言えないようだ。確かに韓国国内では実力主義復古の兆しが出てきている。事情通は語る。

「ベテラン歌手がなぜか歌の実力を競い合う番組があって、それが視聴率20%を超えるほどの人気を博しています。番組放映日にはダウンロードランキングが大変動、ベテラン歌手が歌った10年前の曲が突然トップチャートに入るという現象が起きている。これに対し韓国のレコード協会が『ランキングから外せ』とクレームをいれるという事態にまでおよび、社会現象になっています」

”日本輸出用”の韓流ブームと、本国の潮流は別の次元で進んでるようである。

ここで、高い実力と気骨を兼ね備えた90~2000年代K-POPの牽引者たち(一部)を紹介する。

■DJ DOC
三人組HIPHOPグループ。DJ OZMAがカバーしたことで知られる「Run To You」が大ヒット。過激な歌詞ゆえ、シングルを出すたび発禁になるという懲りない姿勢でK-POP界の悪童の名をほしいままにする。韓国の政治家を痛烈に批判した「ピコッピコッ」、反日ソングと一部で呼ばれている「独島は我が領土」などが有名。それでもアルバムは次々とミリオンセラーを記録し、不動の地位を獲得する。メンバーの暴力事件やもめごとも絶えなかったが、近頃はだいぶ落ち着いてきたようである


■ソテジ
韓国初のHIPHOPグループ「ソテジ&BOYS」を結成し、一世風靡した。韓国音楽に初めてラップとダンスを取り入れ、現在のK-POPの基盤を築いた立役者とされる。その影響力の絶大さゆえ、金大中元大統領に「社会的な意味を持つ音楽家」と呼ばれる。最近、新人女優と極秘結婚していたことが話題に。女優は数年前にオーディションでデビューしたが、その時にはすでにソテジと結婚していたことが明らかになり韓国芸能界最大級のスキャンダルとなる


■キム・ゴンモ
シンガーソングライター。容姿に恵まれないゆえにテレビ出演するたび売り上げが下がるなどの辛酸を舐めたが、歌唱力一本で勝負した結果、アルバムセールス300万枚を達成。その後もミリオンヒットを連発し、韓国音楽史上最も売れた歌手としてその名を残している。


■キム・ヒョンジョン
同じく、ルックスよりも歌で勝負する古き良き韓国の女性歌手。長身とソウルフルな歌声で観客を魅了した。


■S.E.S
韓国女性グループの先がけとなった三人ユニット。97年、デビューアルバムがいきなりミリオンセラーとなり、彼女たちの後に続いてICONIQが所属していたSugerなどの女性グループ旋風が巻き起こった。実は98年に日本進出を果たしているものの、韓流ブームではなかった当時はブレイクに至らず、同じ所属事務所のBoAや東方神起、少女時代がその後日本で人気を得た。歌唱力とダンスが確かであるだけに、もう少し遅ければ……と悔やまれる。


■H.O.T
東方神起に強いアクを加えた感じの、90年代を代表する男性5人組グループ。ビジュアル系のルックスで確かな歌唱力とダンスを披露、作曲もこなす多才ぶりで驚異的な人気を得る。楽曲も時折過激で、放送禁止になることもあった。現在は解散し、ソロ2人ずつと3人組ユニットで活動中。


■イ・ジョンヒョン
小指に装着したマイクでテクノとR&Bを歌いこなすディーバ。舌ったらずな歌い方が魅力的だ。「平和」のPVでは北朝鮮を連想させる衣装で登場、今の韓国では到底できない荒技である。


■ソバンチャ
ダウンタウンの番組EDでカバーされ一躍有名となった「オジャパメン」、正しくは「オジェッパムイヤギ(昨夜の話)」を歌うグループ。少年隊をイメージした感じだがセンターのイムさんはホンジャマカ石塚風。美男子というよりコメディ色を押し出した大衆的なグループで、老若男女問わず人気を博した


■チョ・ソンモ
伸びのある美声でバラードを歌わせると右に出る者がいない。自身のPVに有名俳優を起用しドラマ仕立てにするなど、PV製作にも定評がある。現在もドラマ挿入歌で大活躍中


■韓国ロックシーンの帝王、YB
韓国にロックの土壌を築いた立役者と呼ばれている。ボーカル・ユンドヒョンの抜群の歌唱力と、正統派ロックが人気を博す。男性ファンが多いのも特徴だ。韓国民主化運動をテーマにした楽曲や北朝鮮系アーティストとの共演なども果たし、ロックを地で行く生き様が支持を得た。02年日韓ワールドカップの韓国応援ソングでも有名。


取材・文/日刊SPA!取材班

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