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プレゼン下手…極度のあがり症を克服するには?

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆nao(ペンネーム)会社員 男性 30歳

プレゼン,あがり症 極度のあがり症なのか、5、6人以上の前で話すと、声がうわずったり、妙に早口になってしまいます。営業職のため、営業先でプレゼンをする機会も多く、それなりに場数を踏んでいると思うのですが、一向に直りません。友人の結婚式では今まで2回スピーチを頼まれたのですが、1度目は何を話したかまったく記憶がなく、2回目は緊張をほぐそうとお酒を浴びるように飲んでしまい、大失敗。これではダメだと思い、プレゼンの際にはテープレコーダーで録音して、自分がどんな話し方をしているか復習したりもしたのですが、恥ずかしいほど下手くそで、声は震えて、聞き取りづらく、さらに自信喪失してしまいました。佐藤さんは数々の要人との交渉事を任され、とてつもないプレッシャーを背負いながら、多くの人と向き合ってきたと思います。どうしようもないあがり症の私にアドバイスをください。

◆佐藤優の回答

 私も気が小さいので、スピーチとか、講演は苦手です。仕事だと思っているので何とかこなせますが、ほんとうは逃げたくて仕方ありません。

 あがり症を克服するためには、小心者であるが、大胆なことを平気でできるようになった人から学ぶことです。こういう人には恥知らずが多いので、そういうネガティブな性格が伝染しないように注意しながら、ノウハウを学ぶことが重要です。この点で、格好の事例が猪瀬直樹前東京都知事です。猪瀬氏は、去年12月18日に辞意を表明しました(都議会が同24日に承認)が、ちょうどその日に同氏の新著『勝ち抜く力――なぜ「チームニッポン」は五輪を招致できたのか』(PHPビジネス新書)が店頭に並びました。プレゼンテーション(説明)のコツについて、猪瀬氏はこう述べています。

<プレゼンテーションで手本にしたのは、NHK教育テレビで放送されている『ハーバード白熱教室』のマイケル・サンデル・ハーバード教授と、アップルの創業者で二〇一一年に亡くなったスティーブ・ジョッブズ氏の二人だ。/僕は二〇一二年二月の番組でサンデル教授の講義に立ち会い、意見を述べた。ジョッブズ氏も言わずと知れたプレゼンテーションの名手であり、僕は自分の講演でもその手法を取り入れてきた。/プロジェクターの画面を見せながら、歩き回ったり、身振り手振りを交えて話し、聴衆に問いかける。そういう下地があったから、招致活動のプレゼンテーションでも、会場を盛り上げることができたのかもしれない。>(124~125頁)

 要するに、自分の不得意なことについては、事前に練習をしておけばよいのです。テープレコーダーで自分の声を録音して聞くよりも、まず、スピーチを紙に書いて、100回読みます。そして、できるだけ暗唱するように努めます。そのうえで、友達の結婚式のときの動画を借りて、上手なスピーチがどういうものか研究します。

 この種のスピーチは、アナウンサーのように流暢であるとか、声優のように声がきれいであるということが、評価の対象になるわけではありません。まず、あなたが話していることの意味が、正確に理解されることです。この場合、早口で話さないように注意することです。スピーチの内容を正確に記憶していれば、早口になることはありません。次に、スピーチの内容に心がこもっていることです。これは、スピーチの原稿を書く段階で決まります。もし、あなたが自分で文章を綴ることが苦手ならば、あなたの周辺で文章を書く仕事をしている人(作家、記者、コピーライターなど、探せば必ずいます)に、あなたの考えていることを話して、それを文章にしてもらってもいいでしょう。スピーチを含め、苦手な事柄については、事前にきちんと準備をしておけば、切り抜けることができます。頑張ってください。

【今回の教訓】
猪瀬前都知事の著書から克服法を学ぼう

◆募集
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【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『読書の技法』『日本国家の神髄』など著書多数 (※写真はイメージです)

【今週の参考文献】
勝ち抜く力――なぜ 「チームニッポン」は五輪を招致できたのか

猪瀬直樹 PHPビジネス新書

著者が都知事時代に著した最後の作品。いかにして2020年の五輪開催地を勝ち取ったかが記されている。最愛の妻との死別についても触れている。'13年刊


インテリジェンス人生相談 復興編

超個人的な問題から佐藤優が導<日本復興のシナリオ>とは!?




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