相場自体が調整の理由を探している!?
安倍晋三首相は’13年末の東証大納会で「アベノミクスは来年も買い」と高らかに宣言した。しかし、年明け後の日本株価は波乱含みの展開だ。米国は株価調整の気配が漂い、中国経済の悪化懸念もある。日本の株式市場への影響は決して小さくない。
◆内外の市場で株価調整の兆候表る!米日中の無視できないリスクとは?【後編】(政治経済学者 植草一秀氏)
⇒【前編】はこちら
◆中国経済の底割れは習近平体制に大打撃
さらに、中国では1月23日に発表された1月のPMI指数(製造業購買担当者景気指数)が6か月ぶりに景気回復の目安とされる50ポイントを下回った。最大の影響を与えたと考えられるのは人民元の対円での上昇だ。習近平体制が発足して1年が経過したが、体制の基盤は固められていない。習一族の蓄財疑惑なども取り沙汰され、ここで中国経済が腰折れすると、習体制は強い衝撃を受ける。
1月発表の米雇用統計が市場予想よりも経済の弱さを強調するものであったため、米国の金融緩和縮小観測は一時的に後退した。それでもNYダウは調整色を強め始めている。相場自体が調整の理由を探しているようにも見える。
安倍政権好調の最大の理由は日本株高にあったが、この条件が崩れると政局にも影響が生じそうだ。
【今週の数字】
’11年のNYダウの下落幅
2471ドル
サブプライム金融危機に伴う株価大暴落の底値は’09年3月だった。あれから約5年が経過し、NYダウは1万6588ドルまで急騰したが、2度目の調整局面に差しかかる
【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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