相次ぐ中国産回収は、人民元高と関係あり?
消費増税や年金保険料の引き上げなど、今年は我々庶民にとっては苦しい年になりそうだ。しかし、負担増となる大きな隠し玉がひとつ残っていた! それが日本最大の貿易国である中国の人民元高だ。調べてみると、予想外の負担増と安全リスクがあった。
◆相次ぐ中国産回収は、人民元高と関係あり?
アベノミクス効果で円安が進むなか、対円ではこの1年で20%以上も上昇した人民元。価格据え置きを要求する納品先業者との板ばさみとなるなか、中間業者や現地の下請け企業はコストカットする以外に生き残る術はない。
前回(https://nikkan-spa.jp/579410)に続き、遼寧省大連市でアクセサリーメーカーを営む日本人(36歳)も「日本のクライアント側に品質低下を容認するような風潮がある」と話す。
「中国に拠点を構える日系企業の多くは、日本的なモラルでよくやっていると思いますよ。『母国に粗末なものを入れたくない』という思いは誰もが持っている。しかし、クライアントのなかには、価格を一方的に押し付けてくる傍ら、『こんな方法もあるよね』と、暗に品質を犠牲にしたコストカットを勧めてくるところもある。『品質はある程度、目をつぶるから、とにかく価格は上げないでくれ』というわけです。ただ、そういったところに限って、最終納品先で問題となった場合は、『言っていない』とシラを切り、全責任を押し付けてくる。結局、そういうクライアントの仕事は、モラル度外視の非日系企業しか受注しなくなるのです」
さらに悪気はなくとも、価格に拘りすぎるあまり、結果として製品の品質低下を招いてしまうケースもある。広東省中山市のプラスチック加工メーカーに勤務する日本人(37歳)は話す。
「為替変動を考慮しない日本の業者は、発注先メーカーとの交渉が決裂すると、複数の新規メーカーに相見積もりをとって、かなりしつこく価格交渉をやってくる。こういった業者には地雷が多い。というのも、最終的に契約を結ぶのは納期ギリギリなのに、納期を遅らせるという計らいはないから。結果、メーカー側は時間がないなかで品質や安全性を犠牲に突貫でやらざるをえない。これが不良品発生や事故の遠因となっている」
広東省広州市在住の日系企業の駐在員(33歳)は、こうしたなかで起きたという、ある事件の裏事情を話す。
「昨年、日本のコンビニチェーンが景品として配ったキャラクターものの中国製マグカップが、破損してけが人が出たため、回収される事件がありました。この背景には、コンビニと中国メーカーの橋渡しをしていた商社が、中国メーカーに価格的にも納期的にもかなり厳しい要求をしていたという噂がこちらでは広まっている。中間に立つ商社は、客先には為替を理由に値上げを迫る一方、メーカーからは安く仕入れてナンボ。ただ、彼らにとって幸いなことに、ここ中国では品質にさえ拘らなければ、安い業者を探せばいくらでもある。中国メーカーに言わせれば、『頂いた値段と納期で精いっぱいやった結果』なんです」
この事件と同じ頃、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで販売されていたスヌーピーの中国製マグカップでも、同様の事故が発生し、2600個以上が回収されている。また今年に入ってからも、家電商社の山善が販売していた中国製オーブントースター2機種が、使用中にガラス扉が破損する恐れがあるとして回収されるという騒動があったばかり。
◆食品でも安価で危険な農薬に差し替え
これらの事件の背景について、真相は明らかになっていないが、前出の日系企業駐在員はこう警告する。
「昨今の回収騒ぎは、円安、人民元高が原因である可能性が高い。今後、日用品や廉価な家電製品など、低品質な中国産には今まで以上に注意すべき」
一方、食品も注意が必要だ。
「大手企業が現地で生産・管理する食品は別ですが、中小の商社が輸出する食品は要注意です。人民元高を受け、中間業者が安価で危険性の高い抗生物質や農薬の使用を黙認しているケースを聞きました。中国産輸入食品の違反率は、今後、高くなっていくと思いますよ」(都内の食品商社社員)
人民元の上昇による、低質・危険な中国製品の日本への流入は、確実にやって来る。消費増税やインフレなど、庶民の負担は増える一方だが、カネで買える安全は買っておいたほうがいい。日本は、人民元高を機に、本格的なチャイナフリーに舵を切ったほうがいいのかもしれない。
<品質低下が予測される中国製品>
爆発や早期破損、有害物質滲みだしなどなど、今後、特に注意すべきものがこれだ!
「LED電球、ぬいぐるみ、スマホ周辺機器食器、自転車太陽光パネル、アクセサリー調理家電、自動車部品、プラスチック製品」
― [人民元高]で日本の庶民生活は崩壊する!【2】 ―
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