「日本は世界で唯一円安を喜んでいる愚かな国」現役金融マンぐっちー氏
今年、経済的にリスクがあるのは新興国と語るぐっちーさん。アルゼンチンの危機的状況などさっそく年初から気になる話題も出てきているが世界経済にどれほどの影響があるというのだろうか? 展望をぐっちーさんが解説する
◆新興国投資はオススメしませんが世界経済は問題なし(現役金融マン ぐっちーさん)
今年の世界経済においてはあまりリスクになる要因は見当たらないが、あるとしたら新興国の経済成長の鈍化。BRICsに代表される新興国からは早めに資金を逃がすべしと指摘していたら、さっそく年初から「爆発」しています。
今回も発信源はアルゼンチン。’01年、950億ドルの返済不能に陥りデフォルトして以来です。現在、国内の預金の70%が外貨になっている(ほとんどドル)という状態ですからアルゼンチン国民が自国通貨を全く信じていない。こういう国に投資をするのは甚だ間違いです。いつも書いていますが、日本は世界で唯一自国通貨安(円安)を喜んでいる愚かな国なのです。それは自国通貨が叩き売られるときの恐怖を味わったことがない、とんでもない発想です。
今回のアルゼンチンのケースで言うと、1ドル7.8205ペソと、ここ数か月で35%値下がり、中央銀行が外貨準備を吐き出してペソを買い支え、外貨準備が尽きる。ここで買う人がいなくなり、一気に価値を失う。まさに負の連鎖なのです。この図式は’98年アジア通貨危機もまったく同じで、自国通貨が売りの嵐に見舞われると最後の頼りは中央銀行しかない。自国通貨高で破綻した国はありませんが、通貨安は破綻に至る。それを喜んでいる日本という国は一体なんなんでしょうかね。実際日本は通貨安で輸出が増えて景気回復、と言っていましたが、回復どころか、円安で輸出金額が水増しされただけで輸出量はまったく増えていません。逆に輸入価格が高騰、完全に貿易赤字に転落しています。何度も言いますが、日本のような先進国は自国通貨安にしていいことは何もないのです。
⇒【後編】「新興国危機はたいした影響なし」へ続く https://nikkan-spa.jp/592653
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
ウォール街で20年生きてきたノウハウからブログを執筆するアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)を主宰している
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