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お客様の“むちゃぶり”に奮闘する店員たち【トホホ事例集】

「ホスピタリティ」という言葉が一般的になり、サービスの内容と同時に、その質も問われるようになっている。が、その一方で「お客様は神様」という言葉を曲解した、困ったちゃんな客も少なくないようで……。各業種、サービスマンたちの証言を聞いていこう! ◆むちゃぶり客 モンスター, 客, 店員, 接客, 残念な人 経営の神様、松下幸之助の口癖は「それでお客様は喜びますか?」だったという。が、おもてなしをしたくても、サービスマンとて、できることとできないことがある。 「『これを付けて占って!』と、猫耳持参した男性客」(占い師・女)、「しゃべるぬいぐるみの“初期設定”をしてもらいたい、と。ウチは美容店なんですが……」(美容・女)などは、湧き起こるビミョーな気持ちを抑えさえすればいい。  しかし、「ペットの犬を撮影し、できあがりの写真を見て『ウチのミルクちゃんはもっとかわいいはず! 撮り直して』と何度も要求」(写真スタジオ・男)されても、写真は真実以上を写さないし、「『お気に入りの靴と同じものが欲しい。一から作ってもらってもいい』というお客さん。よくよく聞くと大手デパートでも扱いがないそう。それがスーパーでできるはずがない」(スーパー・男)のだ。  しかし、「『テレビで見た商品が欲しい』という問い合わせ。なのに商品名どころか、何の用途に使うものなのか、何の番組で放送されたのかも覚えてなかった。『棒のヤツ』という情報だけでは……」(ホームセンター・女)と思っても、無下にはできないのが客商売。 客「毎日毎日、スマホアプリのことを聞きに来るお客さん。パズドラのインストールから攻略法、飽きたら次のオススメゲームのインストールと攻略法へと無限ループ。正直、迷惑だけどおばちゃんは口コミ力がすごいから何も言えない」(携帯販売・男)と、延々と付き合うことになる。似たような悩みはゲームメーカーにもあるようで。 「説明書に『攻略法は教えません』の一文を入れているんですが、それでもダメ。せめて、攻略本を一読してから電話をしてきてほしい、と言うとキレたり。一度、『教えてくれないなら死にます!』っていう人がいて、その人にはさすがに教えました」(ゲーム・男)  そのほかにも、「絵画教室のレッスン日に都合が悪く、ほかの日に自宅でレッスンしてくれと先生宅の電話番号を要求。『どうせ授業料は先生に払うんだから同じでしょ?』と言い出す親」(カルチャースクール・女)や、「入院中の個人の洗濯をしろと言う患者さん。病院は旅館じゃありません」(看護・女)など、道理も引っ込むムリを通そうとするお客様もいる。  そんな話を聞くと、「おばあちゃんから『トイレの流すボタンが固くて……流してほしい』というお願い。赤の他人の汚物を流すという機会は初めてでした(苦笑)」(受付・女)という話に和まされる。  そんなお年寄りの頼みならと思いがちだが、「ムリな要望を断ると『年寄りなのに……』と年齢を武器にする人が多い」(百貨店・男)というのはちょっとズルい、かな。 ※写真はイメージです イラスト/こまつめ組 ― 私が遭遇した[トホホな客]図鑑【1】 ―
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