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短期間に種を絶滅させる「カエルツボカビ」の脅威

ニホンウナギの絶滅危惧種指定が話題になっているが、絶滅しそうなのはウナギだけではない。実は1年に4万種という、恐竜絶滅期以上の超スピードで“種の絶滅”が進んでいることが判明。人類は、史上最悪の“第6の大絶滅期”真っただ中にいたのだった! ◆短期間に種を絶滅!! “見えない外来種”の脅威【外来種侵入】
カエル

カエルツボカビに感染したカエルは表皮が硬化・乾燥してボロボロ剥がれるなどの症状が現れている

 外来種の脅威といえば、日本ではブラックバスが有名だが、最近では“見えない外来種”の脅威に注目が集まっている。その一つが、IUCN(国際自然保護連合)が定める「外来種ワースト100」にリスト入りした外来種で、ここ20年ほど世界で猛威を振るっているカビの一種「カエルツボカビ」だ。その恐ろしさを麻布大学の宇根有美教授はこう解説する。 「カエルやサンショウウオなど両生類は世界に7259種いて、その43%が個体数減少、32%が絶滅の恐れがあます。’80年代以降は120種が絶滅しました。その大きな原因の一つがカエルツボカビです。皮膚に寄生するカビで、200種以上の両生類に感染します。感染力が強く種によっては致死率90%以上と非常に高い。また、一般的な外来種に比べて怖いのは、短期間に種を絶滅させてしまう点です。特にパナマやオーストラリアでの被害が深刻で、パナマには’95年に侵入、’04年までにほぼ全土でカエルツボカビが蔓延。同国では48種の両生類が感染、90%の個体減少という壊滅的な被害をもたらしました。
カビ

カエルツボカビの拡大写真

 オーストラリアでは’79年に東岸中部のブリスベンでカエルツボカビによるカエルの減少が確認されました。その後、カエルツボカビは南北に年100kmのスピードで拡散し、’93年には北東部クイーンズランドに到達。12種類以上のカエルが大量死し、イハラミガエルなど4種が絶滅しました。’98年には西南部パースにも広がりカエルが大量死。オーストラリアの両生類219種類のうち、49種類以上に感染が広がったのでした。  人やモノが短時間かつ大変な数で移動する現代、外来種や疫病は以前にも増して拡散しやすい状況にあります。カビによるコウモリの大量死、養殖ガキのヘルペス症の流行が問題となっていますが、検疫や殺菌をしっかりする、安易に動植物を移動させないなど、こうした“見えない外来種”の対策を徹底するべきでしょう」(同) ― 人類は[絶滅期]を迎えていた!【6】 ―
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