今、東京の[立ちんぼ]に何が起きているのか?【後編】
近年、東京都が断行している“浄化作戦”により、夜の楽しみが衰退の一途を辿っているといわれて久しい。そんななか、街頭にたたずむ「立ちんぼ」事情はどうか? 深夜の裏通りに潜入した!
◆新大久保から歌舞伎町、渋谷、池袋……暗がりに蠢く街娼たちの現在【後編】
⇒【前編】はコチラ
次に、ロシア人や東欧系など金髪立ちんぼが有名だった錦糸町にも来てみた。だが、もう金髪系はいないという。「随分前にもっと稼げるマカオやマレーシアへ移った」と、待ち合わせに使われていた焼き肉屋スタッフ。金髪がいてもそれはフィリピーナで、お金に厳密なロシアンや東欧系はとうに見切りをつけたらしい。立っているのはチャイナエステの小姐ばかりだ。
一方、池袋駅北口のホテル街はさらに閑散とした様子。ほとんどが客待ちか引き揚げの車を待つデリヘル嬢で、ここもチャイナエステの客引きばかりになっている。
立ちんぼの減少は法規制やカメラなどの設置だけが理由ではない。年に3~4回は立ちんぼの世話になっているという40代男性はこのように語る。
「利用できるラブホがどんどん減っているんです。定宿として使っていた格安ホテルが次々と潰れたり、レンタルルームへと変わっているのが大きいと思います。レンタルルームは実質、デリ店専用の場合が多く、フリー売春婦は利用できない。立ちんぼを買って、さらに1万円以上かかるようなブティックホテル代を払う客なんていないですからね」
これは渋谷、蒲田なども同様だ。
かつて東電OL事件(※97年、街娼をしていた東電OLが客に殺害された事件)が起こり、東京のもう一つの立ちんぼの中心地であった渋谷・円山町はまったくそれらしい影は見えず、坂道や階段を行き来しても、一人で歩いている女性はどれもがデリ嬢だ。ミニスカートやスーツスタイル、そしてブランドバッグ、もしくはキャリーケースという鉄板の服装をしているのですぐわかる。蒲田では深夜になると中国、東南アジア系の露出度の高い集団が街頭に立つが、夏休み以降はなりを潜めている。理解のありそうな老舗ラブホテルは点在するが、駅からは遠く幹線道路に面しているため目立ちやすいのだ。
取材に応じてくれた韓国人ニューハーフは、客にすっぽかされたからと、食事に誘ってくれた。立ちんぼ市場の縮小とともに、このように顧客と立ちんぼ嬢との距離が縮まり、当然サービスも充実……という変化が起きたようだ。客からすれば「一発だけで十分」だからこその“立ちんぼ”なのであるが……。
取材・文/木下秀彦 ※写真はイメージです

【関連キーワードから記事を探す】
なぜ渋谷の「スクランブル交差点」に人が集まる理由。ヒントは“特殊な地形”
「渋谷と池袋」、ハロウィンで別れる明暗…なぜ池袋は「行政側が積極的」なのか
「自ら命を絶った作家」と「池袋」。両者の間に存在する“不思議な共通点”
なぜ新宿ではなく“池袋のゲイバー”が三島由紀夫の小説で舞台になったのか。「麻布」と対極を成すような土地が必要だった説
“池袋の象徴”で「24時間営業」「ロックフェス」を行う案が…どちらも幻になってしまった理由
「“ギャル男”を広めることは社会貢献」SNSで話題のギャル男がSNSで発信する意外なワケ
渋谷の立ち飲みバーは外国人美女だらけ!本誌記者はセレーナ・ゴメス似の美女と大接近
ドンキの新業態「ドミセ」、なぜ渋谷から異例の早さで撤退?Z世代向け「キラキラドンキ」との明暗
イマドキ女子高生は清楚系?“渋谷発”トレンドリサーチ、高校生は30年でどう変わったのか聞く
豪華すぎる飲み放題が話題のシェアラウンジ。「1時間787円」で満喫する方法
雨の日でも快適。傘を差さずにブラつける都心の意外な街
日雇い労働者、ネット難民…ディープ蒲田で見つけた本当の幸福ってなに?【電マライター・村橋ゴローの東京ぶらりんこ旅 第6回】
今、東京の[立ちんぼ]に何が起きているのか?【後編】