お金

日本の教育現場で“お金の授業”がない理由。「受験科目以外に触れない」という落とし穴

税理士の大河内薫氏による短期連載「人生を変える『お金の義務教育』」。前号に続き、今回はひろゆき氏と「教育現場」について討論。日本でお金の教育を妨げるものは何なのか。2人の見解は?

日本の教育現場で「お金の授業」がない理由

お金の義務教育

大河内薫氏

――日本の教育現場では、アメリカのように「お金の授業」がありません。なぜだと思いますか? 大河内:日本の教育現場では、受験科目以外には積極的に触れませんよね。あとは、お金の授業をすると“不都合な人”がいるのも影響しているのかなと。例えば、「リボ払いはダメ」と教えて本当に誰も使わなくなると、クレジット会社は大きな収益を失いますから。 ひろゆき:学校教育って「誰も傷つけてはいけない」という価値観で動きますよね。手数料を高くして情弱からカネを巻き上げる投資信託とかは消えたほうがいいけど、それを生業にする人もいるので、一般論しか教えられない。だからお金の教育をするなら独自に教科書を作るしかないと思います。 大河内:それこそ、すぐに作れるはずなんですよね。サブ科目でもいいので、少しでも義務教育にエッセンスを入れるべきなのに。 ひろゆき:いざというときの役所の頼り方も教えるべき。例えば生活保護や補助金制度って、日本史の授業よりも社会に出てから役に立ちます。でも、自治体ごとに制度内容も違うし、学校側もそれに合わせて教える情報をアップデートしないといけない。面倒だし嫌なんでしょうね。 大河内:今年4月から高校では家庭科に資産形成の授業が盛り込まれて、実際に僕も新しい教科書を見たのですが、少しだけ要素が入っただけで全然変わっていないんですよ。でも、熱意ある先生はこれを機に、僕みたいな専門家に依頼してくれるかもしれない。

お金の授業は専門家に任せたほうがいい

ひろゆき:「誰が教えるか問題」は大事ですよね。英語を外国人が教える授業があるように、専門分野は専門家が教えるほうがいい。フランスの小学校では、近所のおっさんが学校に来て、自分の仕事の話を子供にしたりするんです。こういう先生以外の人が当たり前に教える環境にしたほうがいい。社会人からリアルな話を聞くと、子供も将来をイメージしやすくなるし、よっぽど役に立つと思う。 大河内:それが本当のキャリア教育ですよね。僕も小学校でお金の授業をしますけど、お金も含めた生き方の教育として、もっと身近な人が教えるほうがいい。でも、日本ではハードルがありますよね。 ひろゆき:近所のおっさんにしゃべらせるだけなので、本当は簡単なはずなんですけどね……。
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「成功したお金の教育」のモデルケースになる自治体をつくりたい
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’83年生まれ。’17年に独立。YouTube「大河内薫のマネリテ学園」ほかメディア運営多数。8.2万部突破の最新作『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が発売中

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