お金

日本の教育現場で“お金の授業”がない理由。「受験科目以外に触れない」という落とし穴

「成功したお金の教育」のモデルケースになる自治体をつくりたい

お金の義務教育

ひろゆき氏

大河内:教育現場って、やはり堅い組織ですから。以前、僕の書籍に感銘を受けてくれた先生がいたので書籍を寄贈しようとしたら、学校側から「教育委員会の許可が大変なので」と断られました……。 ひろゆき:逆に文部科学省が各学校に「新しい取り組みを毎年報告せよ」と言えば、校長が何か新しいことをする気はしますけどね。 大河内:行政は良くも悪くも「右に倣え」です。だから、全国一斉じゃなくても、ひとつの自治体レベルで「成功した金融経済教育のモデルケース」があれば、次々にマネをする自治体が出てくる気がするんです。特に関西はお金について話すことが当たり前の文化があるのか、僕のお金の授業に対して前向きな校長先生が多い。そこに教育委員会も絡めてモデルケースをつくれないか模索していて。逆に、東京の学校からの依頼は不思議なほどこないんですよ。

親がお金に疎いと、子供も逃れられない?

ひろゆき:受験勉強に時間を割いたほういいからですかね? そうやって育った子供のほうが、社会に出てお金に振り回されそうな気がしますけど……。 大河内:はい、おっしゃる通りだと思います(笑)。 ――教育では、親のマネーリテラシーも重要になってきますよね。 大河内:はい。だから、実は親の金融経済教育が一番重要なんですよね。子供がお金の話に感銘を受けても、親が「そんな話はするな」と上書きしたら終わりですから。定時制高校などで授業をすると、稀に親がお金で苦労していることを反面教師にする生徒もいて、そういう子供は当事者意識が強いから、チャンスがあると思うんです。 ひろゆき:いやぁ、割合は少ない気がしますよ。子供って無意識に親の価値観を刷り込まれるので、ギャンブルが当たり前の家庭で育つと「ギャンブルはやるもの」と思って育ちますから。貧困の再生産はどこの国でも起こっていますし、そこを教育で変えられないのは“証明済み”な気がします。 大河内:だからこそ、お金の授業は子供に届けるためにだけど、ネットや本での情報発信は親に届けるためにやっているんです。こういった活動を長期的に続けていけば、次世代は変わるのではないかという期待も込めて。
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20年後は“一発逆転を狙おう”という人がさらに広がる
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’83年生まれ。’17年に独立。YouTube「大河内薫のマネリテ学園」ほかメディア運営多数。8.2万部突破の最新作『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が発売中

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