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“名誉市民”になったアザラシ&ラッコたちは今どうしてる?

殺伐としたニュースが多いなか、ホッと心がなごむ動物ネタ。ニュースをにぎわせた動物たちは、今どうしているのか? その近況をSPA!がリポート! ◆住民票を発行されたあのアザラシ&ラッコはどうなった? ●多摩川のアザラシ【タマちゃん】
アザラシ

※写真はイメージです

 住民票発行のパイオニアとなったのが、’02年に多摩川に出没したタマちゃん。発行した役所に聞いたが、 「詳細を知っている者はもういないんです。ただ住民票といっても法律に基づいたものではなく、住民票の形に似せたものを広報物として希望者に1か月ほど配布しただけ」(横浜市西区役所)とのこと。 「西玉夫」というベタな登録名の名づけ親もわからずじまい。「当時、河川浄化や町の美化活動を区民とともに盛り上げようとしていた区政推進課が、活動の一環として仕掛けたのだとは思いますが」。流行語大賞に選ばれるなど一大ブームを巻き起こしたものの、ほどなく下火になりタマちゃんの消息も不明に……。 ●埼玉・荒川のアザラシ【志木あらちゃん】 昨年の秋に荒川に現れたアザラシにつけられた名が「志木あらちゃん」。 「10月に役所の者が所在を確認したあと、市長が直々に出没現場に向かって再確認。特別住民票を発行すると発表して話題になりました。志木市のPRとともに明るい話題を提供できれば、というのが目的でしたが、『行政のやる仕事ではない』との批判も……」(埼玉県志木市役所) 一方でPR用として200~300枚用意した住民票は全部ハケたというからニーズはあったようだ。 さらに役所は公式サイトで、アザラシの出没状況を知らせる『あらちゃん日記』を公開していたのだが、 「1か月半くらいでいなくなってしまって。日記に書くこともなくなったのですが、中途半端に終わらせることもできず、けじめとして翌年の3月にあらちゃんの写真展を行いました。結構、好評でしたよ。写真展の終了とともに日記も終わらせました」。確かに引き際って難しいもんね。 「もう少し長くいてもらいたい気持ちもありましたが、あまり騒がれるとご批判も増える。静かに見守れたら一番よかったかなと思いますね」 ●那賀川のアザラシ【ナカちゃん】 「’05年に那賀川の中州に現れ、市町村合併する前の那賀川町役場が特別住民票を発行しました。以前どこかでアザラシに住民票作ってたし、二番煎じでもPRになればと。もらいに来る人で朝から行列ができて、数千枚は作りましたね。住民票は今もあります」(徳島県阿南市役所) 翌年には、合併した阿南市の特別名誉市民にも登録された。 「ところが、その年の夏にナカちゃんが死んでしまったんです。現場には何百、何千人という市民が押し寄せ、『ナカちゃんを見せろ』と険悪な雰囲気に。暴動が起こりかねないとの懸念もあり、一旦警察の死体安置所に移送することにしたんです。ナカちゃんを乗せた車を見送る市民のなかには涙を流してる人もいました」って、そこまでの思い入れが……。 遺体は動物園で解剖されたのち、「学術的に役立ててもらいたい」と県立博物館に移された。さらに、「市民にこれだけ愛された記念を残そうと、’07年に那賀川の河川敷にレリーフを建てた」のだとか。ナカちゃんも成仏できただろうね。 ●釧路のラッコ【クーちゃん】 ラッコが釧路川に出現したのは’09年の2月。「発見されてから1か月経ってもいなくならなかったので、HPに『クーちゃん日記』として観察記録を載せるように。その後、記念品として特別住民票を発行、同時に出現スポットにクーちゃんの写真パネルや記念碑なども作りました」(釧路市産業振興部観光振興室) また、地元の商工会議所はクーちゃんを特別観光大使に任命、観光協会からは感謝状を贈るなど盛り上がったが、住民票を発行した9日後にクーちゃんは姿を消した。「ラッコは大食漢らしいので、この一帯のエサは食べ尽くしたのかも。いなくなった当初は市民も『いつ戻ってくるか』と期待してたようですが、もう3年も経つし、今はすっかり忘れてる感じです。ただ、今年の1月に同じポイントにアザラシが現れたんですよ。『クーの再来か!?』と一瞬なったけれど、北海道でアザラシって珍しくないんです(笑)。まもなくいなくなったこともあり、すぐに下火になってしまいました」。ほかの場所だったら、ちやほやされたのにね。 取材・文/石島律子 漆原直行 昌谷大介(A4studio) 撮影/落合星文 漆原直行 ― 世間を騒がせた[ニュースな動物]のその後【10】 ―
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