“イクメンの暴走”で亀裂が走る夫婦が増加中

この子のためならなんだってできる……と頑張ってはみたものの

 いまや完全に定着したイクメンという言葉。「イクメンプロジェクト」を立ち上げて旗振り役となる厚生労働省や、イクメン芸能人たちの影響もあって、男性が積極的に育児参加することは、もはや義務になった感すらある。

 だが一方で、そのような“イクメン役”を頑張りすぎて身を崩してしまう男性も増えているという。埼玉県を中心に家事サポートサービスを手掛ける「アイナロハ」代表の渡辺大地氏はこう話す。

「僕がこのサービスを立ち上げたのは約1年前。当初は『もっと男性が育児参加をしよう』と訴えていくつもりだったのですが、いざ始めてみると状況は想定していたものと違いました。育児を頑張りすぎて自分がダウンしてしまう人が多かったんです。毎晩早めに仕事を切り上げて帰宅して土日は付きっきりで赤ちゃんの面倒をみたり、『男の家事は料理だ!』と張り切って突っ走ったり。でも実は、奥さんがしてほしいのは掃除だったり買い物だったり、人によってさまざま。だから、奥さんの産後のイライラも重なって、意見の違いから喧嘩したり。ちょっと暴走ぎみにイクメンを頑張った挙句、自分の体がもたなくなってしまうんです」

 ひどいケースだと、旦那さんが“産後うつ”になってしまうこともあるという。

アイナロハのHP。同社ではサポートサービス以外にも『お産とオッサン。』という本の自費出版や、『男の産後手帳』という冊子の配布などもしている

「ウチに相談に来た方で、お母さんと赤ちゃんが実家に里帰りをしたのですが、実母と衝突してしまい里帰りを中断して帰ってきたそうです。そこで父親が『俺が家事も育児も全部やってやる!』と宣言。けれど、生後まもない赤ちゃんの世話を仕事と並行でできるわけもなく……。結果、1か月で燃え尽きてしまって、その後体調を崩して数か月も会社を休むことになってしまったそうです」

 進退きわまった状態になって、彼はアイナロハに相談してきたという。

「サポートを依頼される方をみていると、ほかにも最近、旦那さんが親と揉めるパターンも増えていますね。孫の育児方針に口を出したい親に対して、昔だったら主に奥さんが揉めていたのが、今は旦那さんが揉めてしまうケースもあるんです」

 そんな産後トラブルを回避するには、「やはり事前の心構えが大切」と渡辺氏は続ける。

アイナロハが主催する「父親学級」の様子

「まず、育児は“想像以上に”大変なものだと、出産前から考えておくことです。あとは、夫婦間でコミュニケーションをきちんととっておくこと。ウチでは『父親学級』という、若手夫婦のための育児講座を開催しているのですが、その場でよく奥さんたちから『ウチの旦那をよく教育してください』と言われます。そうではなく、夫婦の足並みを揃えることが大事なんです。大切なのは、妻は自分がどうしてほしいと思っているかを夫にきちんと話し、夫は妻がどうしてほしいと思っているかを知っていることです」

 イクメンに憧れる旦那と、イクメンを求める妻。その間で赤ちゃんがおざなりにならないことを祈るばかりだ。<取材・文/日刊SPA!取材班 写真提供/アイナロハ>

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