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鹿の解体アーティストの「解体ワークショップ」を体験してみた

 鹿の解体をライブハウスで行っているアーティスト、「水曜日のカンパネラ」のコムアイ氏。昨年の11月4日に渋谷WWWにて自身も初となる鹿の解体をライブハウスで行った。日刊SPA!では、その模様を「鹿の解体はショーたり得るのか?」という記事(https://nikkan-spa.jp/533629)で詳報した。 ※日刊SPA!では鹿の死体の写真を掲載します。ご了承の上、お読みください。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=595580
ニホポ氏(トンガリキッズ)

薪割り体験をする参加者。写真は、今回のワークショップに参加したアーティストのニホポ氏(トンガリキッズ)

「決してグロテスクなものを見せたいわけじゃない。それでもやりたいと思うのは、『動物が食べ物になっていく過程』を生で観て、その意味を感じてほしいんです」と語る彼女だが、実際に鹿の解体を行ったイベントで印象的だったことがある。  リハの段階でステージ上にブルーシートなどを敷き、鹿を解体する台などの位置を決めている際にコムアイ氏は「なんか、周りが土じゃないとイヤな感じがする」とつぶやき、「思ったより不気味なことをやっている、と今気づきました。妙なことやっているな、と」とその心情を吐露したのだ。  普段、彼女が鹿の解体をしているのは山梨県の自然の中。ドラムセットなどが設置され、照明などが当たるステージの上での解体というのは、やはり不自然な行為であることは間違いない。個人的には「『動物が食べ物になっていく過程』を生で観て、その意味を感じてほしい」という意図には賛同するものの、やはり「ショー」として解体を見せることには、ライブハウスでの解体を見た後でもある程度の違和感が残っている。  では、自然な環境で鹿の解体を見るとどのような気持ちになるのだろうか? コムアイ氏が主宰した「鹿の解体ワークショップ」に同行してみることにした。  イベントが行われたのは1月下旬。山梨県の北杜市で開催されたこのイベントは、なんと現地集合、現地解散(!)という条件にも関わらず、朝10時25分には30人もの参加者が集まった。会場は廃校を利用した施設で、雪が積もった屋外でたき火が起こされている。
鹿

鹿が運ばれてくる

 希望者が薪割りなどを体験しているうちに、コムアイ氏の解体の師匠である佐野氏が1頭の鹿を運んでくる。この日解体される鹿は全部で3頭で、すべてメス。寒さからか硬直しており、鹿の解体を行う台の上に佐野氏が鹿を置いたのち、足を開いてスルスルと解体を始める。「まず、食べる用に一頭やっちゃうね」と佐野氏。ほんの20分ほどで、皮を剥き、ロースやヒレなどの部位を取り出し終えた。 「さて、あと2頭いるんですが、皆さん、食べるほうを優先したいですか? それとも解体体験を優先したいですか? もし食べるほうを優先したかったら、もう1頭は僕が捌いてしまいますが」  佐野氏が参加者にアンケートを取ると、ほとんどの人たちが「鹿の解体を体験してみたい」と答え、残り2頭を参加者全員で順番に捌くことに。足の部分から皮を剥き、足を取り外し、胴体の部分の皮を剥いていくという行程だ。実際にナイフを入れてみると、スルスルと皮が剥けていく。寒さを除けば、野外料理教室といった趣だ。鹿の死体に対しては、最初の1頭目を見たときはまだ驚きがあったが、前回のライブハウスで見慣れてしまったせいなのか、山梨の自然の中で見ているせいなのか、すぐに「そこにあって当然のもの」という感覚になってくる。
コムアイ氏

鹿の足の皮を剥くコムアイ氏

 参加者たちも解体自体に興味津々といった様子で、皮剥きや肉を取り出すという作業に夢中になっていた。解体体験を終えて、たき火で暖を取っている参加者に話を聞いてみた。 「前のライブで解体を見て、実際に体験したいと思い参加しました。鹿を近くで見るとやはり生々しいですね。実際に自分でナイフを入れてみると、うまく行かなかったですね」(男性参加者) 「解体は初めてだったんですが、楽しかったです。抵抗感はなかったですね。意外とスルスルと皮が剥けて。前のライブは見ていないんですが、解体のワークショップがあると聞いて、行ってみたいなと思いやってきました」(女性参加者)  さて、12時40分にはすべての解体が終了し、鹿肉入りうどんや鹿肉の焼肉がふるまわれる。山梨県産のぶどうジュースやホットワイン、米焼酎などを飲みながら、さながら真冬の雪上バーベキューの様相だ。  前回のライブのトークショーで佐野氏は「解体ワークショップは『楽しく解体して、食べて終わりだよ』という考えでやっています。楽しみながらご飯を食べたい。そこにただ、解体がある、血がある、という考えの人は楽しいと思いますけど、『うーん……』となってしまう人も中にはいると思います。ただ、それは人それぞれの意見なんで」と語っていた。そして、「僕はもともと食べるために解体をするんで、楽しくやったほうが、おいしく食べられるんですよ」とも。  ここでは一般参加者の顔がわかるような写真の掲載は控えたが、当日の参加者の写真を見返すと笑顔で溢れている。実際、現場で体験した感想としては「解体」という作業を除いてはバーベキューでおいしく飲み食いをしているのと変わらない。うまく皮が剥ける、剥けないなどの「作業としての楽しさ」が笑顔を生んでいるのだが、こういった「笑顔で解体をしている写真」に拒否反応を示す人がいるのも事実だ。「命をいただく現場で、笑っているとは何事だ」という反応であり、その主張も充分にわかる。  次回、偶然、今回の解体の現場に居合わせたある女性猟師氏と、この「解体を人に見せることの意味、意義」について語り合っていく。(続く) <写真提供/雨宮透貴 取材・文/織田曜一郎(本誌)> ※3月1日(土)、2度目となる「ライブハウスでの解体」が行われる予定。ただし、2月14日の大雪の関係で、鹿を確保、運搬できるかが現状不明、とのこと。関係者は解体実現に向け、鋭意努力中とのことだ。 【水曜日のカンパネラpresents オトトイの地下室】 日程:3月1日(土) 時間:OPEN 15:30 / START 16:00 会場:新宿LOFT 出演: 【音楽】下記 クリトリック・リス 水曜日のカンパネラ NATURE DANGER GANG 向井秀徳アコースティック&エレクトリック ※50音順 【解体】鹿 【活弁】山田広野 【演芸】ぼく脳 【漫読】東方力丸 【落語】瀧川鯉八 料金:前売¥3,000- / 当日¥3,500- ドリンク代別途 ※学生証提示で¥2500(D別) ※オールスタンディング/ドリンク代別¥500  ※当日券:開場1時間前より販売予定 <チケットに関して> ●手売先行→水曜日のカンパネラのライブ会場にて販売中 ●一般発売→2月1日より下記にて販売 ・チケットぴあ【Pコード:223-712】電話予約:0570-02-9999 ・ローソンチケット【Lコード:70037】 ※電話予約なし
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