マキタスポーツ「水曜日のカンパネラのコムアイは“エロくない壇蜜”だ」【vol.2】
マキタスポーツ氏とコムアイ氏の掛け合いのドライブ感がわかる、放送文字起こしを対談原稿化したものも掲載! 長い! 飽くまで「おまけ」なので、読む場合は覚悟して読むべし!
マキタ:今夜のゲストをご紹介します。話題沸騰中、水曜日のカンパネラのコムアイさんです。よろしくお願いいたします。
コムアイ:よろしくお願いします、コムアイです。満を持して、お会いできました。
マキタ:満を持してですか?
コムアイ:あのー、某SPA!という雑誌があって、その某副編集長がマキタさんと仲がいいって聞いてまして。
マキタ:彼が学生だった時代から僕は知り合いですよ。
コムアイ:うっそー。
マキタ:お互いに髪の毛がもっとふんだんにあった時代から。
コムアイ:盛り髪だった頃から?
マキタ:全然。もうその頃ぐらいから知っていますけど。
コムアイ:ちょっと想像つかないですねぇ。いや、マキタさんじゃないですよ、その副編集長が。
マキタ:副編集長のほうね。そうなんですよ。何をそんなにスパっと髪の毛をあきらめたのかというぐらい、彼は今はもう髪の毛をあきらめていますけど。ま、お互い共通の知人がいるということで、でも、初めてお会いしますよね。
コムアイ:はい。はじめまして。
マキタ:水曜日のカンパネラは「2012年にデモ音源をユーチューブで配信し、始動」ということなんですけど、ユーチューブで?
コムアイ:そうなんですよ。2週間に1本ぐらい、ユーチューブに映像をアップするというのをやっていたんですよね。
マキタ:自分で? 勝手に?
コムアイ:軽くデモを作ったら、完成させていなくてもどんどんアップしちゃうみたいな、みんなで練習問題みたいな感じで曲を作っていたときがあって。私は曲を作るっていう感じじゃないんですけど、レコーディングとか「スピード勝負!」みたいことを一時期やっていたんですよ。それが最初ですね。
マキタ:そもそも、コムアイさんは音楽をやろうという志向があったの?
コムアイ:いや、全然そんなふうには思っていなくて、ホント、ポンっと誘われて始めちゃって、ノリでやったらここまできちゃったって感じですね。
マキタ:あー、いいですね、その「自分が望んでいない」感じ。
コムアイ:「天才なの?」みたいな(笑)。
マキタ:持って生まれてきた自分の体を持て余してどうすればいいかわからない、みたいな。でも、「他人が評価してくれたから」的な。「お姉ちゃんが勝手にオーディションに応募しちゃった」みたいな。
コムアイ:そうそう。でも、あたしが歌っているのを聴いてもらえばわかるんですけど、(初期の頃と変わらず)頑張れていない感じのまんまなんですよ(笑)。
マキタ:でもねえ、清水ミチコさんっていう人がね、名言を言っているんですけど、「努力して歌がすごくうまいとか、頑張って歌がうまいっていう『芸のある人』って貧乏くさい」って。
コムアイ:あー、わかる。
マキタ:ん? わかっちゃった?
コムアイ:苦手なんです、そういう歌のうまい人。
マキタ:今、「あー」って言った瞬間から、世に言う「上から目線」になりましたよ(笑)。
コムアイ:そう、すぐ鼻が長くなっちゃうんですよ(笑)。だから、今日は叱られにきました。
マキタ:なんですか、俺、そんな説教キャラじゃないですよ。
コムアイ:(笑)。マキタさんはカンパネラのことは知ってました?
マキタ:そりゃ、噂には聞いてますよ。だって共通の知人もいますし。
コムアイ:共通の知人がすごい言ってくれたんですね。
マキタ:でも、当初はグループだった予定が、現在はコムアイちゃんのみがステージを担当しているということで。
コムアイ:そうなんですよ。最初はね、女のコ3人の予定で、なんか民族音楽っぽいパフュームみたいなのをやろうみたいな感じで始まったんですよ。
マキタ:民族音楽(笑)。
コムアイ:当初はそういう予定だったらしいんですけど、あたしが最後に入って、女のコが3人揃ったんですよ。3人とも能力はチグハグなんだけど、「さあ、これでやっていこう」となったら、あたしが入った瞬間にねえ、前にいた2人が順番に蒸発していって……。
マキタ:それ、コンビクラッシャーじゃないですか、あなた。
コムアイ:うん、あたし、そういうところあるみたい。
マキタ:ハハハ。そうなんですか。秩序が乱れたわけね。
コムアイ:そうなんですよね。だから、一回、カンパネラ自体が頓挫しかけたんですけど。もう(コムアイの)ソロでやるか、みたいな感じになって、今に至ります。
マキタ:あと、鹿の解体ツアーも開催しているんですよね。何なんですか、これは?
コムアイ:鹿の解体はもともと趣味でやっていて……。
マキタ:あんまり、趣味でやるもんじゃないと思うけど。
コムアイ:あたし、高校のときから畑作業とかが好きなんです。地方のコミューンとかに遊びに行って、鶏を育てたりしていたんですよ。ゴミが出なくて、食べるものも全部健康、みたいな生活を一回やってみたくて。それで、実際にやってみたんだけど、都会が恋しくなって戻ってきたんですよ。
マキタ:ハハハ、何だよ。で、鹿の解体を趣味でやっているの?
コムアイ:都会に戻ってきても、たまに田舎でできる趣味ないかな、と思っていて、それで鹿の解体を始めたんですよ。鹿の解体は、最初に地方でやっているのを見たんですよね。そのときに、ちょっと解体をやらせてもらって、すごい面白いな、と思って。毛皮を身から剥していくんですよ。そうすると最初は剥製みたいにキレイだった鹿が、おいしそうな肉の塊になるんです。冷凍とかで売っている鶏とかの塊みたいな感じになるんですよね。それがたまらないんですよね。「可哀相だったのにおいしそうになってくる」という自分の感覚が変わってくるのが。
マキタ:あー、最初はやっぱり可哀相と思っているんだ。
コムアイ:すごく思います。鹿は可愛いし、すごいキレイだし。猪はあんまり興味がなくて、解体をやったことがないんですけど。というのも、鹿のフォルム……毛皮とか、まつ毛がすごい長かったりとか、全身の形がキレイなんですよね。
マキタ:うんうん。
コムアイ:なんか、猪のほうが田舎臭いっていうか、んー、(鹿も)両方、田舎臭いけど……。
マキタ:リスナーの皆さん、ちゃんとついてこれていますか? これ、踏み外すとまったくついてこれなくなると思いますよ。僕は一瞬、ちょっと不安になりましたよ。あの、コムアイさんが途中からすごい「皮剥ぎあるある」みたいな感じの気分で喋られていますけど、そもそも「ないない」ですから、これ。「あるある」なんてひとつもない(笑)。
コムアイ:そうなんですね(笑)。
マキタ:「ほら、鹿のほうがキレイじゃないですか」とか「猪のほうが田舎っぽいじゃないですか」みたいな感じで僕に委ねられても、その違いはわからないですから。
コムアイ:そうですよね。それで、鹿が好きで解体しているんですけど、ライブで歌も歌っていて……。
マキタ:「歌も歌ってて」って、どっちがメインなのかな?(笑)
コムアイ:うーん、でも、(あたしは)鹿は一生やっていくんで、歌のほうがやめるのが先になるかもしれないです。
マキタ:えっと、なんなんでしょうかね。
コムアイ:で、(鹿の解体を)ステージでやろうと思って。
マキタ:ステージで鹿の革を剥ぐライブパフォーマンス? それはまあ、ザ・スターリンですらやっていないことですよ。
コムアイ:けっこうね、健全なんですよ。
マキタ:いや、健全……? まあ、確かにね、パフォーマンスってこととかじゃなくてアース的な……。
コムアイ:そう、コンセプトにアース的なものを持ち込めば健全ですよね。まあ、ライブハウスで「どの辺に肉がついているんです」みたいなことを話しながらやりながら、やっぱり解体は山梨でやったほうがいいなって思って。
マキタ:山梨は僕の地元ですよ。
コムアイ:あ、そうなんですね? 山梨のどこですか?
マキタ:山梨市ってところ。ほったらかし温泉があるところ。
コムアイ:いいですよねー。景色がすごいきれいなところ。
マキタ:もっとちょうだい、山梨のこと。
コムアイ:(笑)。あたしが行っているのは北杜市なんですよ。かなり奥のほうですけど。
マキタ:北杜市ね。もっとちょうだい。
コムアイ:山梨のこと? うーんと、あの、果物がおいしい。
マキタ:出た(笑)。もう褒めるところが底をついた感じ。で、人の土地で勝手に鹿を解体して。何してくれてんだよ。
コムアイ:(笑)。山梨を荒らしてくれな、と。
マキタ:血を大地に一滴も垂らさず捌いていただきたいな、と(笑)。さっきから、音楽番組にもかかわらずひとつも音楽の話が出ていないし、なんか知らないけど俺に「ポケットテンガ」をプレゼントで持ってくるし(編注:10月にコムアイ氏が出演したライブ「高岡まつり」で観客に配布されたものと思われる)。
コムアイ:だって、「ちょっと大人の音楽番組」って言っていたから、ちょうどいいかなと思って。合わせてきました。私なりのチューニングです、これ。
マキタ:いやいや(笑)、チューニング? ありがとう、本当に(苦笑して)。確かにうれしいけどね。これを「いらねぇよ」って強く言えない自分がいるよね。「受け取っとくよ」と強く言いたい自分がいるし。
コムアイ:女のコに大人のおもちゃとかもらうのってどうなんですかね? 軽いセクハラじゃないですか。
マキタ:あー、その程度のセクハラだったら僕は年中受け付けたいですね。でも、いいですね、街角でポケットティッシュ代わりにポケットテンガを配っていただけたら。けっこう、世界平和になると思いますよ。
コムアイ:私には使い道がないんで、差し上げます。
マキタ:だって、あんたこれ、噛んでいたんでしょ?
コムアイ:そうそうそう。1個、噛みました。
マキタ:ハハハ。よくわかんないです。
コムアイ:え、だってわかるじゃないですか。触ったらプニプニしていて、噛みたくなりません? どんな感じなんだろう、と。
マキタ:どんな感じだったの?
コムアイ:なんかね、求肥(ぎゅうひ)。ホント、大福的な感じ。
マキタ:そうね。なんかね、スーパーとかのレジ前に置いてあるような、求肥みたいな。レジ前でポケットテンガを買えばいいんだよね、30円引きみたいな。
コムアイ:そうそうそう。
マキタ:って、なんの話をしているんだよ!(机をドンと叩く)。音楽の話が必要なんだよ。ここで一曲いきましょうか。
コムアイ:いいですね。
マキタ:いいですね、じゃねぇんだよ、だから(笑)。そういうことしに来たんだからさ。何にしましょ、曲は。
コムアイ:えっと、広瀬香美さんの、これ言っていいかよくわからないんですけど、スキー場でよくかかっている曲の歌詞だけを変えて……。
マキタ:おう! 面白そう。
コムアイ:一部入っているところがあるんですけど、そこに気付いてもらえたらなと思って、聴いていただきたいんですけど。
マキタ:じゃあ、曲フリよろしくお願いいたします。
コムアイ:水曜日のカンパネラで『チャイコフスキー』。
(曲終わる)
マキタ:前半はね、鹿の肉の解体とか、なんかよくわからない話になって。でも、すごく僕は面白いですよ。面白いです。
コムアイ:えー。信用ならない。
マキタ:いやいや、面白いです。だって、普通じゃねぇもん。
コムアイ:あー、うれしい。まあ、音楽番組では確かにしない話ですよね。
マキタ:音楽番組……うーん、最近の傾向って言っちゃいけないと思うんですけど、まあ、ほら、いいコなミュージシャンって多いと思うんですよね。品行方正というかね、お行儀いいですからね。
コムアイ:本当そうですね。お行儀いいですよね。
マキタ:まあ、こういう社会ですからね。お行儀よくしとかなきゃいけない、というのもひとつだと思うんですけど、まあ、あなたはなんていうんですかね……。
コムアイ:なんかやりたくなっちゃうんですよ。
マキタ:なんか、かましたくなっちゃう? どういう子供だったの、あなた、もともと。
コムアイ:えーと、けっこう泣き虫でしたね。泣き虫だしひょうきんだし、けっこう感情がバラバラみたいな子供でした。今とあまり変わっていないかもしれない。すごい、変顔の写真ばっかり残っています。小さい頃から。
マキタ:あー、普通の状態で写真を撮れない子ね。
コムアイ:そうそうそう。いっつもゾンビみたいな顔したりとか、貞子の真似をずっとやっていました。
マキタ:誰も頼んでいないのに?
コムアイ:そうそう。顔が写ってない写真がけっこう多くて、髪の毛が長かったんで、前にこう全部の髪の毛を持ってきて……。
マキタ:そのときに「周りのウケ」とか気にならなかった?
コムアイ:気にしなかった(笑)。
マキタ:でしょうね。おそらく、そうでしょうね(ちょっと付き離しつつ優しい声で)。
コムアイ:あー、そこからだったんですね。今、すごい大事なことに気が付きました。
マキタ:例えば僕なんかは、周りのリアクションとかは関係ない、自分がやりたいからこういうことやるんだとかの「気分」はあるんだけど、でも、実際にやってみたあとにウケとか笑い声とかの反応がないとすごいイヤなんだよね。
コムアイ:あー。
マキタ:やっぱりね、それがないとすごい恐怖なんですよ。だけど、たまにいるのよ、あなたみたいな人って。(周囲の反応なんか)あんま関係ねぇって。で、一人で喜んでるの。
コムアイ:(リアクションが)あったらうれしいけど、割と一人でどんどんテンションが上がっていって……自分で決まったなと思ったら、それで普通にテンションが上がっちゃうっていう。
マキタ:うーん。なんかあれですよね、ナチュラルボーンな感じですね、あなたもね。
コムアイ:誰かにも言われたな。そうなんですかね。
マキタ:そもそも、僕のこと知ってました?
⇒【vol.3】に続く
構成/織田曜一郎(本誌)
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