球審も絶句した大谷翔平「脅威の身体能力」
プロ野球の2015シーズンがいよいよ開幕する。黒田や松阪の日本球界復帰など、開幕前から注目の高いシーズンとなっている。だが、やはり注目を集めているのは昨シーズン二刀流で11勝10本という日本球界初の偉業を成し遂げ、開幕投手を務めることになった北海道日本ハムファイターズの大谷翔平だろう。
桁外れな身体能力で今年はどんな成績を残すのか気になるところだ。昨シーズン、球歴に残る大谷の10本目のメモリアル弾を球審として目撃したNPB審判員の丹波幸一氏は、あの瞬間を振り返った。
「球審をしていると、バッターが振るか見逃すか、気配を感じるんです。あの10本目のホームランは見逃すのかなと思った次の瞬間、身体に巻き付いたバットが突然シュッと出てきた。あとはカーンという快音を残して凄い弾道の打球がセンターに向かって一直線に伸びてった。センターライナーかな?と思ったらそのままバックスクリーンに飛び込んだ。あんな打球を見たのはバリー・ボンズ以来でした」
こう語る丹波審判員は2002年の日米野球でナゴヤドームで球審をつとめ、当時絶頂期だったバリー・ボンズのホームランを誰よりも近くで目撃した張本人だけに、この言葉には説得力がある。
だが、そんな大谷の二刀流に関しては未だに賛否が別れる。「投手だけなら20勝だ」と言えば、「いやいや打者としては3割30本も……」と野球談義の格好のネタともなる。そんな野球ファンの間で最近話題となったのは球界の重鎮、張本勲氏のサンデーモーニング(TBS)での発言だ。
「5年したらダメになりますよ。今のままではどっちつかずになるから」
「10勝10本、よくやったと思うが、素質からいったら物足りない」
「25本15勝ならいいけど、10勝10本というのはゴルフでいえば予選ギリギリ通過の数字」
もちろんこれは大谷への期待が高いが故の発言だ。しかし、現場を預かる栗山英樹監督は『大谷翔平 二刀流 その軌跡と挑戦』でこのように語っている。
「プロ野球の世界は、いつの時代も結果を出した人間が正しい。そもそも高卒2年目、3年目の選手が、プロ野球の監督に『チームを勝たせろ!』と言わせてしまうあたりに彼のポテンシャルの大きさがある。今年は開幕投手に指名した彼には、『姿』で示せと檄を送りました」
また、現役時代は俊足巧打の外野手として鳴らし、引退後はドラゴンズやファイターズでコーチを務め、開幕戦の解説を務める平野謙さんは二刀流反対の声についてバッサリ斬った。
「俺は最初から二刀流に賛成だった。反対している連中の多くはひがみやっかみだからね。彼ほどの素材は生かさない手はないでしょ!」
と絶賛する。
開幕前夜の囲み会見で、栗山監督はエースの条件についてこう言及した。
「例えば渡米前のマー君(現ヤンキース田中将大)が投げる時のように、相手チームが嫌だなあ、と思うようになってこそ、初めてエースと呼べる。エースの称号は周りや相手が決めるものですからね」
エースで4番(昨年は主に5番DH)というマンガのような活躍をひょっとしたら今年は見ることができるのかもしれない。そんな大谷にある名選手との共通点があるとスポーツライターの小島克典氏は言う。小島氏は『大谷翔平 二刀流 その軌跡と挑戦』でもメインライターとして執筆にも参加している。
「打者としては高卒3年目の掛布雅之さん(元タイガース)を越えて欲しいです。同じ左打ち、1年目が3本、2年目が11本と2人の間には共通点が多い。掛布氏はプロ3年目に27本を打ち、レギュラーの座を確たるものにしました。投手としては史上最速の169kmを計測したチャップマン投手(レッズ)に肩を並べて欲しいですね。大谷選手とチャップマン投手は身長、体重が一緒。これは野球の神様からのギフトとしか思えません」
本拠地での開幕戦を控えるファイターズは「伝説を作る準備はできた。」という挑発的なスローガンで開幕ムードを高めている。文字通り、伝説を作ることができるのか。大谷翔平の3年目は、いよいよ幕を開ける……。
取材・文/SPA!プロ野球特捜班
|
『大谷翔平 二刀流』 その軌跡と挑戦 ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
「14試合26得点」で最下位も…中日・井上監督の「隠れたファインプレー」とは。DH導入でセの貧打は救える?
“あと3勝”で通算200勝の田中将大以外にも、名球会入りする選手が続々と登場する可能性も。セ・パ両リーグで「今年達成されそうな記録」まとめ
「今年こそは完全優勝する!」横浜DeNA・三浦大輔監督が語る「最弱チームはなぜ生まれ変われたのか」
「日本はアメリカの野球を変えている」メジャーリーガーが真似できない、日本人投手の“脅威の能力”とは?
「違法オンラインカジノ」では“プロ野球ペナントレース”も賭けの対象に…。“自己申告頼み”のNPBでは沈静化できない
芝&ダートの二刀流、海外挑戦だけじゃない。ソダシの持つ無限の可能性
大谷翔平の二刀流が相手チームに脅威のワケ。1試合で“1.1人の大谷翔平”と対戦させられる
大谷翔平の恩師、栗山監督「翔平がベーブ・ルースと比較されたことが嬉しかった」
大谷翔平の大活躍から考えるお笑い芸人の二刀流
哀川翔はカブトムシを養殖…芸能人たちの二刀流(副業)事情
“札幌ドーム時代”の収益とは雲泥の差が…野球の試合がない日でも「エスコンフィールド」に人が集まる“明確な理由”
日ハム本拠地・エスコンフィールドに漂う“暗雲”。北海道ならではの「避けては通れない課題」が
北海道日ハム“新球場の大混雑”は本当か。記者が自腹で検証してみた
日本ハムの球団運営を2軍から支えていた斎藤佑樹。その驚くべき功績をデータで読み解く
吉田輝星、プロ初ブルペンに課題見つける …「あきたこまち不足」かも!? /キャンプレポ・2日目
佐々木朗希「ロッテ時代をしのぐ“過保護ぶり”」のワケ。ドジャース先発陣“崩壊寸前”で佐々木が背負う「期待と重圧」
大谷翔平、絶好調の裏で「気がかりな数値」も…昨季と比べて急降下している「バレル率」が示すものは
ドジャース、投手陣「11人離脱」の異常事態で本土開幕へ。ベッツ体重激減、佐々木朗希に託される期待
「どこを見ても大谷翔平」MLB東京シリーズ報道に不満続出。サッカー日本代表にも及んだ「ヤキュハラ問題」…不満の声は“身内”からも
転売される“ドジャース開幕戦”チケット、200万円での出品も…「転売ヤーに狙われる構造だった」専門家が指摘