エンタメ

マッチョバスツアーを仕掛けたのは24歳の経営者。ローション大運動会やバブルサッカーも

 ローション大運動会、バブルサッカー、マッチョバスツアー、すれちがい美女……。これらはすべて、ここ数年のあいだにネット発で大きな話題になったコンテンツだ。一見すると共通性はないように感じられるが、これらがすべて同じ会社が仕掛けたコンテンツであると聞けば、驚く人も少なくないだろう。  そして、その会社・コンテンツを取り仕切っているのが24歳の若者であると聞けば、さらに興味深く感じられるのではないだろうか。 ◆アメリカでプロレスラーに……異色の経歴  渋谷と恵比寿を結ぶ明治通りから小道に入ったところの小さなビルの2階に、株式会社ハイはある。迎えてくれた代表取締役の鈴木秀尚(ひでたか、24歳)さんは、変わった経歴の持ち主だ。 株式会社ハイ代表取締役の鈴木秀尚 2010年、都内の名門私立男子高校を卒業した鈴木さんは、同級生のほぼ全員が大学進学をするなか、単身渡米したそうだ。目的は「プロレスラーになるため」である。 鈴木:高1の頃からプロレスラーになりたくて、高3の進路を決める段階で親にプレゼンしたんです。ちゃんとパワポで資料をつくって。その内容は、『私立の大学に進学すればその受験費用や学費で約500万円かかるけど、その500万円で得られることは何か?』というものでした。  500万円使っても、多くの大学生が大学で経験するのは“ギャンブル・セックス・酒・たばこ”くらいだってことを話して、『その半分の250万円で、アメリカで誰もできない経験をしてきます』ってプレゼンしたんです。親はこれを承諾してくれて、晴れてアメリカに行くことができました。  そうして鈴木さんがたどり着いたのは、アメリカはボストンのチャールズタウン。映画『ザ・タウン』の舞台にもなった、全米でも指折りの危険な地域である。ここで、10代の日本人がプロレスラーになったのだ。 鈴木:特別なことは何もしてなくて、ある日Facebookを見てたら近所にプロレスの道場があることを発見したので、スクーターで行ってみて門を叩いたんです。それから2~3カ月でTaka Suzukiという名前でプロレスデビューしました。結局2年くらいレスラーをやったんですけど、ビザの問題で日本に帰国することになりましたね。なによりも印象的なのは、危険な街だったということです ◆会社設立へ  帰国した鈴木さんは、1年ほどアイドルを扱う芸能事務所に勤めた後、中学・高校の同級生だった小式澤郁さんと株式会社ハイを立ち上げる。2013年10月のことだ。設立当初はWi‐Fi事業などに挑戦していたそうだが、思いつきで始めたまったく関係のない企画が話題になったのだという。 鈴木:あるとき綱引きをやる機会があって、その際に綱と地面との摩擦で手と足の皮がボロボロになったんです。で、ふと『ローションがあればなぁ』と思い、“ローション大運動会”をやることを思いつきました。 株式会社ハイ代表取締役の鈴木秀尚 ローション会社さんに電話して『スポンサーになってください』とお願いし、3日くらい徹夜で小式澤と会場設置したんですけど、嵐で会場が吹き飛んじゃって……。それで、参加者のみなさんに「返金します」って言ったら、じゃあみんなで会場設置してやろうってことになって。話題にもなったし、嬉しかったですね。  その後、鈴木さんは英語が堪能であることを活かして現在日本でも大人気の「バブルサッカー」を輸入。一方小式澤さんは、「渋谷を歩いてたらかわいい女の子とすれちがってドキドキした」というきっかけから、動画がネット上で大きな話題となった「すれちがい美女」を制作。このように、それぞれが“やりたいことをやる”分業体制になったのだという。 ◆「マッチョ」コンテンツはいかにして……  『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)や『とくダネ!』、『めざましテレビ』(フジテレビ系)など、情報番組からバラエティ番組まで約40のテレビ番組に取り上げられ、いまも話題を振りまき続けている“マッチョ”コンテンツ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=969590 マッチョバスツアー 筋肉隆々な男性マッチョ軍団が繰り広げるこのコンテンツは、「マッチョバスツアー」、「マッチョカフェ」、アイドルグループ「マッチョ29」、かき氷店「マチョ氷」、「劇団マッチョ」とさまざまな展開を見せているが、その始まりはどんなきっかけだったのだろうか? 男性マッチョ軍団鈴木:会社をつくったばかりの頃に書いた企画ノートに、“マッチョバスツアー”とだけ書いてあったのを見つけて、すぐにやりたいと思ったんです。それで“国産 プロテイン”で検索してスポンサーさん探しですね。マッチョバスツアーをやりたいという熱い思いを語ったら、快く承諾してくれたうえにマッチョまで紹介してくれました。  いま弊社のもとで活動してくれているマッチョは11人いるんですけど、半分くらいはスポンサーさんに紹介してもらって、あとは僕のプロレス仲間に呼びかけたりナンパしたりして集めました ――え、ナンパって……。どのようにやるんですか? 鈴木:街中とか各種イベント会場とかで、声をかけるんです。「お兄さんマッチョですね。何かされてるんですか? おぉ、それは素敵ですね。今度ゆっくりお話でもいかがですか?」って、一般的なナンパと変わりません。それで、「一緒にマッチョ界を変えましょう! マッチョを金にしましょう!」って熱く語ります。  そうして集めたマッチョたちと一緒にさまざまな試みをしてきた鈴木さん。今度は、焼肉屋とコラボした「マチョ肉屋」というコンテンツが始まるそうだ。
相澤飛鳥さん、コアラ小嵐さん(超新塾)、サイヤマングレートさん

3人のマッチョは、左から相澤飛鳥さん、コアラ小嵐さん(超新塾)、サイヤマングレートさん

 最後に、どこからこんなモチベーションが沸いてくるのか聞いてみた。 鈴木:深いことは何も考えてないです。僕はアメリカでいろんな国籍の友だちができたんですけど、たとえばベネズエラ人の友だちは「ベネズエラの危険な地帯ではアジア人は確実に撃たれる」って言ってましたし、アンゴラからの友だちは「世界でいちばん怖い存在は蚊だ。刺されたら死ぬ」って。 そう考えたら、日本は最高ですよね。まあ死ぬことはないじゃないですか。だったら深いことは考えず、人生何でもいいからやれることはやってみようと思ってます。
小式澤&鈴木秀尚

左が小式澤さん

 ゆとり世代などと揶揄されることもあるいまの若者だが、そんなのはやっぱり人次第。世代なんて関係ない。とにかく楽しそうに、でも一所懸命に仕事に取り組む鈴木さんと小式澤さんを見るに、そんな当然ともいえる感想を抱いた。 <取材・文/宇佐美連三>
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート