いま世界中でマイケル・ジャクソンの音楽が熱烈に再評価される理由とは?
「いま、マイケル・ジャクソンがアツい!」――といっても、これは30年前の文章ではない。文字通り、この2016年の現在、マイケル・ジャクソンが“アツい”のだ。
マイケル・ジャクソンが亡くなったのは、2009年6月25日。既に死後6年以上経つわけだが、少しクサい言葉を選んでいえば、彼の音楽自体はいまも生き続けている、どころか、まるで親のように後進のアーティストたちに“教育”を施している。
まずは、日本での例を紹介しよう。
2015年のJ-POPヒット曲のなかで最も音楽ファンに支持された楽曲といえば、星野源の『SUN』だろう。この曲が収録されたアルバム『YELLOW DANCER』は「第8回CDショップ大賞」を受賞することとなったが、同アルバムに封入されたライナーノーツのなかで星野は、『SUN』についてこのように書いている。
「小学生の頃に夢中になり、今でも大好きなマイケル・ジャクソンへの想いをしたためました」
遠く離れた日本で影響を与えているとなれば、本国アメリカのミュージックシーンにおいてはマイケルの影響はさらに濃くなる。
この現象について解説するのは、マイケルの音楽を軸に90年代から現在までのR&Bシーンについて紹介するディスクガイド本『新R&B教室 マイケル・ジャクソンでつながる ソウル/ブギー・ディスク・ガイド1995-2016』(スペースシャワーブックス、3月31日発売)を上梓した音楽ジャーナリスト、林剛氏と荘治虫氏だ。
両氏は、ファレル・ウィリアムス、ブルーノ・マーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、クリス・ブラウンなど、現在アメリカのミュージックシーンで最も勢いのある人気アーティストたちが、近年こぞって公言も交えつつマイケルの影響が色濃くうかがえる楽曲を発表し、それらが世界的にヒットしている現状を指摘する。
林:今年のグラミー賞で7部門にノミネートされ2部門を受賞したザ・ウィークエンドの『Can’t Feel My Face』という曲なんかも、マイケルの70年代・80年代の音楽を現代風に咀嚼してつくり上げられたものですね。ザ・ウィークエンドは、1990年生まれ。非常に若い世代にもマイケルは強い影響を与えています。
では、なぜいま、死去から6年以上経った“いま”になってマイケルの影響が強くなっているのだろうか?
トップアーティストたちがこぞってマイケルをオマージュ
『新R&B教室 マイケル・ジャクソンでつながる ソウル/ブギー・ディスク・ガイド1995-2016 (SPACE SHOWER BOOks)』 最強のR&Bジャーナリストコンビが現行R&Bの文脈で語るキング・オブ・ポップの音盤レビューと、マイケルが好きならこれも聴け!な進化系R&Bを200枚強選盤。R&B/ソウルにおけるマイケル・ジャクソンとは何だったのか、何でありつづけるのか? モータウンのソロ時代やジャクソン5、ジャクソンズ、ジャネット、MJを輝かせた各時代のプロデューサー/ソングライターたち、MJのカヴァー、サンプリング曲も紹介。MJファンはもちろん、R&B初心者からマニアまで読んで楽しめるディスクガイド。 |
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