今、「グルメマンガ」が支持される理由
今や、どのマンガ雑誌にも必ず2~3本はグルメものが載っている。食べることが嫌いな人はあまりいないし、うまそうな料理描写は理屈抜きに読者の目を引く。『深夜食堂』『ワカコ酒』『ラーメン大好き小泉さん』のようにドラマ化されたヒット作も多く、出版社にとっては手堅く稼げる、文字どおり“おいしいジャンル”なのである。
それゆえあの手この手で仕掛けてくるわけだが、こうしたグルメマンガの元祖的存在は何かといえば、やはりまず『包丁人味平』が挙げられよう。以後、『ミスター味っ子』『OH!MYコンブ』から最近の『食戟のソーマ』まで、少年料理人が活躍する料理バトルものは脈々と受け継がれている。
一方、’80年代に登場した『美味しんぼ』や『クッキングパパ』は、主人公がプロの料理人ではないところが斬新だった。’90年代には『孤独のグルメ』のように「食べるだけ」の主人公も登場。さらに’00年代以降には、『極道めし』『めしばな刑事タチバナ』のような「語るだけ」の作品も現れる。
そうした流れと並行して、扱う料理の多様化・細分化も進んできた。寿司、ラーメン、パン、そばなど特定ジャンルに絞った作品が続々登場。最近では、うなぎ限定の『う』、燻製限定の『いぶり暮らし』、丼限定の『どんぶり委員長』、スープ限定の『オリオリスープ』など、「そこまでやるか!」とツッコみたくなるニッチなネタも多い。
ただ食べるだけでなく、グルメと何かを掛け合わせた作品も増えた。歴史との合わせ技『信長のシェフ』、RPG的世界でモンスターたちを料理しちゃう『ダンジョン飯』など、奇抜な発想に唸る。
もうひとつ最近目につくのが、男子が作って女子が食べるパターン。前出『どんぶり委員長』も料理上手な男子がツンデレ委員長に丼物を作らされる話だが、ほかにも『まかない君』『にがくてあまい』『姉のおなかをふくらませるのは僕』など料理男子が増殖中。これもまた今の時代を反映している。
【南 信長氏】
’64年、大阪府生まれ。マンガ解説者。各紙誌で、マンガガイドを執筆。著書に、マンガの中の食の描写を解説したお腹の空くガイド『マンガの食卓』(NTT出版)のほか、『やりすぎマンガ列伝』(KADOKAWA)など
― あの[マンガ飯]を実際に食べてみた ―



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『マンガの食卓』 マンガに登場する“あの料理"は、なぜおいしそうに見えるのか? 小池さんのラーメンから『銀の匙』の豚丼まで、〈あのマンガ〉の〈あの料理〉を味わいつくす! ![]() |
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