電力自由化になっても託送料金に含まれる「原発維持費用」
―[国民を騙す[大本営発表]のリスク]―
「電力自由化で電気料金は安くなる」。マスコミ報道でよく耳にする“いい話”は本当なのだろうか? そんな“大本営発表”の裏側を徹底検証!!
託送料金に含まれる「原発維持費用」
’90年に自由化した英国では’04年頃から電気料金が高騰、10年間で倍に上がった。発電費用だけで料金の約7割を占める高コスト体制と燃料の高騰、インフラ整備を怠ったことによる供給能力低下などが要因だ。ドイツでは、高い託送料金の設定で新電力会社はほとんど撤退。
※「託送料金」とは…発電事業者が、発電した電気を電力会社の送電線を使って送る場合、電力会社に支払う「使用料」
既存の電力会社の合併などで寡占化が進み、’00年から料金が高騰(現在は託送料金は政府の認可が必要となり、送電部門が別会社化された)。米国では’96年から24州とワシントンDCで自由化されたが、競争激化で送電システム管理や更新がおろそかになり、’00~’01年にカリフォルニア州で大停電が発生。また、投機筋の操作で電力料金が高騰した。
また、環境活動家の田中優氏は「託送料金には、原発の維持費用も含まれています」と語る。電気料金の約1割は、「使用済核燃料再処理費」と「電源開発促進税」が占めているという。
「青森県六ケ所村の再処理工場の運営費や原発推進の費用が含められているということです。原発に頼らないエネルギーを選ぼうとしても、結局は送電線の料金で原発にお金が行くことになる」(田中氏)
もし’20年に送電の自由化が始まったとしたら、電気料金はより安くなるのだろうか? 託送料金はどうなるのだろう。そもそも誰が送電線を管理するのか。これを資源エネルギー庁に尋ねると、「検討したことがないのでわかりません」との回答が返ってきた。
「送電線は、政府の息のかかった一社に統合して管理する形になることになると思います。本来の『自由化』とはほど遠い。自由化直後は各事業者が顧客囲い込みの価格競争を行って一時的には電気代が下がるでしょうが、契約数が少なければ、安い価格を維持できなくなると思います」(田中氏)
取材・文/樫田秀樹
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