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サッカー日本代表・久保裕也の活躍にみる世代交代の波

久保裕也が右FW定着へ向け猛アピール

 この最終予選に入ってから、各ポジションでの選手起用に徐々に変化が見え始めている。「代表選考においては過去の実績よりもクラブでの活躍を重視する」という言葉とは裏腹に、今季ACミランで合計約90分しか出場していない本田圭佑がいまだに招集されているほか、リーガエスパニョーラのエイバルで主力として活躍している乾貴士を呼ばずに、クラブで出場機会の少ない宇佐美貴史を招集するなど、指揮官の「言っていることとやっていることが違う」感は相変わらずだが、それでもチーム内の序列が変わりつつあるのは間違いない。特に前線のFW3枚に関しては、確実に世代交代の波が押し寄せている。  この2試合で最も目に見えた活躍を見せたのが、右FWとしてプレーした久保裕也だ。UAE戦の前半に待望の代表初ゴールを奪うと、後半には今野の追加点をアシスト。続くタイ戦でも前半のうちに2アシストを記録し、後半には利き足と逆の左足で2試合連続となるゴールを奪ってみせた。 「攻撃的なポジションの選手である以上得点に絡むことが仕事なので、ゴールにしろアシストにしろ、何かしら結果を残したいと思っていました。監督からは“相手の背後をつけ”ということを練習の度に何度も言われているので、そこは特に意識しました」  その意識は試合開始早々に身を結ぶこととなる。前半8分、最終ラインで森重がバックパスを受け顔を上げた瞬間、久保が相手の左サイドバックの背後のスペースを指さして走り出す。裏への意識を共有していた森重から絶妙なロングフィードが入り、久保は対面したDFとの1対1に“自分の間合いで”入ることに成功。見事マーカーを振り切り、香川の先制点に繋げてみせた。  森重と久保が同じイメージを共有していたからこそ、久保が欲しい場所で、また欲しいタイミングでパスを受けることが可能となったのだ。久保自身も、周囲との連携面の成熟に確かな手応えを感じている。 「前回招集されたサウジアラビア戦の時に比べたら少しずつチームにフィットしてきたかなという感じはあります。自分が受けるポジショニングをしっかり考えながらやれればスムーズにいく感覚はありますね。足元でも裏でも、前を向いてボールを持てればと。“ここにこのタイミングで走れば出てくる”っていうのが分かりつつあるので、そこを突き詰めていきたいです」  所属するヘントではここ7試合で5ゴールと結果を残している。得意な形に持ち込めさえすれば、代表でも結果を残す自信はある。 「相手の裏を狙うことも含めて、どこでボールを受けるかということについては常に意識しています。前向きでボールを持てれば何かできる自信はあるので、その状況をいかに作れるかが大事。良い流れは来ていると思うので、この2試合で終わらないようにしたいと思います」
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ポスト役として評価の高まる大迫の存在が久保の追い風に
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フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129

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