20か国を漂流した41歳プロサッカー選手・伊藤壇のクレイジー蹴球ジャーニー
いまや欧州に限らず、海外でプレーするサッカー選手は珍しくない。アジアでもタイやシンガポールを筆頭に100人を超える選手がプレーしていると言われる。そんな流れに先駆けて、これまでアジアの20もの国と地域のトップリーグでプレーしてきた異色の選手が伊藤壇(41歳)である。
伊藤は’98年にブランメル仙台(現ベガルタ仙台)入り。しかし、2年で戦力外になると’01年のシンガポールでのプレーを皮切りに、以降「1年1か国」をテーマにアジアの国々を渡り歩いてきた。
在籍したリーグの数は、世界最多。昨年、’17年限りでの引退を表明し、今年は年明けから21世紀最初の独立国として知られる、東ティモールでプレーしてきた。しかし5月上旬、リーグ中断期間の一時帰国中にクラブから突然の解雇通告があったという。まさに“サッカー版クレイジージャーニー”を地で行く男は、いま何を思うのか。直撃した。
いったい何があったのか?
「僕もビックリしていますが、チームから契約解除の連絡がありました。所属していたASポンタ・レステは昨季のカップ戦王者ですが、今季は前半戦の7試合を終えて8チーム中5位と低迷。監督がメンバーを固定しなかったこともありますが、僕自身フル出場は1試合もなくMFとして1点を挙げただけで、期待に応えられなかったことが解雇の理由でしょう。チームの結果が出ない時に真っ先に矛先が向かってくるのが外国人選手。これは海外で助っ人としてプレーするうえでの宿命ですね」
まさに海外で長くプレーしてきた伊藤らしい潔い言葉。それにしても、なぜ最後のプレーになるかもしれない地が東ティモールだったのか。東ティモールと聞いても、’02年の独立前後からの騒乱のイメージとPKOの一環で自衛隊が派遣されたという事実くらいしか思い浮かばない。日本人にとってはほとんど馴染みがないと思うが……。
「僕はずっとお金やリーグのレベルじゃなく、どこに住みたいかでチームを探してきました。以前は海がきれいなモルディブや、マレーシアのペナン島でもプレーしましたが、東ティモールってリゾート地で有名なインドネシアのバリ島のすぐ東側なんです。それに新しい国だし、情報がない分、逆に行ってみたいと思ったんです」
治安をはじめ、食事や住居などはどんな環境だったのだろうか。
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「治安は悪くなかったですし、食事もサテ(肉などの串焼き料理)やナシゴレン(焼き飯)などがあって美味しかったです。家もチームオーナーの立派な一軒家の1部屋を借りていたので快適でした。唯一大変だったのは毎試合、30度を超える暑さのなか、舗装もされてないデコボコ道をトラックの荷台に乗って3、4時間移動しなきゃいけなかったこと。
あと試合前日は、民家の広めのリビングにマットレスを敷き詰め、選手、スタッフを含め約30人で雑魚寝していたのですが、さすがにそこで食事し、ミーティングもするのはキツかった。民家なのでバスルームにトイレは1個しかなく、歯もまともに磨けないし、“緊急時”は外で用を足してましたね(笑)」
かつてはサッカー大国ポルトガルの植民地だった東ティモールだが、FIFAランキングは195位と44位の日本と比べるとだいぶ下がる。スタジアムなどの雰囲気はどうだったのか。
「スタジアムは小さく、入っても3000~4000人程度。でも、盛り上がりはそれなりで荒れた試合の時は、サポーター同士の小競り合いまで起きて、警察が催涙ガスを撒いたこともありました」
「1年1か国」と決め、アジアを渡って20年
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