アニマルの憂うつ=“伝説”のつづき――フミ斎藤のプロレス読本#023【ロード・ウォリアーズ編8】
悪いことは重なるのか、試合中のアクシデントで尾てい骨亀裂骨折の重傷を負い、しばらくはリングには上がれなくなった。いいようにいいように考えたのか、それとも悪いように悪いように考えたのか、けっきょくアニマルもWWEをおん出ることにした。
WWEのワクのなかに身を置いていると、どんなスーパースターでもやがて“ひと山いくら”になっていく。LODのイメージを引きずれば引きずるほどアニマル個人の商品価値も落ちていく。そんなことがあっていいはずがない、こういうときは去るのみ、である。
アニマルはケガの治療と休養のためにミネアポリスに帰ってきた。ホークとはあまりはなしをしていないらしい。いまのところ、LODの再結成は考えていない。
ホークは、新日本プロレスをホームリングに選択することでアメリカのプロレス・シーンから姿を消した。佐々木健介とタッグチームを組み、ロード・ウォリアーズのビジュアルと様式だけは残すことになったが、ホークのなかでは日本のリングでの活動はまったく新しいなにかとして整理がついている。
アニマルはアニマルで、頭をひねりにひねっている。どっちがジョン・レノンでどっちがポール・マッカートニーかはわからないが、LODは1980年代のプロレス界ではビートルズのような存在だった。
ソロになったからには、おたがいがまったくちがった形で才能を発揮していけばいいし、また、そうするしかない。伝説はどこかでピリオドを打っておくからこそ伝説なのだ。
おそらく、アニマルは意地でも日本のリングには上がらない。もし、アニマルとホークがあの格好をしてバラ売りで日本にやって来たらおしまいだ。でも、伝説のイメージをまんまと裏切るのもまたスーパースターのスーパースターらしさといえるかもしれない。
アニマルはいったいどうするつもりなのだろう――。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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