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北朝鮮のミサイルには反撃できず、EEZに落下するミサイル破壊も違法――手足を縛られた日本の防衛政策の現実

日本の防衛政策は「専守防衛」

 日本は「専守防衛」を防衛政策の基本としています。「専守防衛」とは、「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢」とされ、「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保有する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限ること」を意味しています。  だから、現在の日本の保持し得る自衛力は、自衛のための必要最小限度のもので、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器(ICBM、長距離戦略爆撃機等)は保持し得ないことになっています。

敵基地攻撃は憲法上、可能

 しかし、北朝鮮による度重なるミサイル発射について、もし、日本の領土・領海に弾道ミサイルが飛んできた場合には、北朝鮮を攻撃できるのか、敵基地を叩けるかということに国民の関心が高まっています。  これについては、「我が国領土に対し弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、他の手段がないと認められる限り、敵のミサイル基地等をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能」という昭和31年の鳩山一郎首相の答弁があり、理論的には海外の敵基地を叩くことは可能とされてきました。 「いや、日本は専守防衛だから、実際にミサイル攻撃を受け、被害が発生しなければ武力攻撃があったと見なすことはできない」という見解もありますが、政府はそうした考え方を採っていません。武力攻撃の発生時点は、弾道ミサイルが我が国領域に着弾した時点に限られるものではなく、状況によっては、それ以前の時点、例えば、我が国に向けて弾道ミサイルが発射された時点であれば、武力攻撃が発生したと認められるのです。  さらに、石破茂防衛庁長官(当時)による「東京を火の海にしてやるなどの表明があり、まさしくミサイルの燃料を注入しはじめ、ミサイルを屹立させたという場合には武力攻撃の着手があったと見ることができる」旨の答弁もあります。  したがって、「我が国独自の敵基地反撃能力の保有」は憲法上からも専守防衛の観点からも可能ということになります。

敵の基地を反撃できる装備がない!?

 ただし、実際、日本の自衛隊が海外の敵基地を攻撃できるかというと、自衛隊は、敵基地を攻撃することを目的とした装備体系にはなっていません。「敵基地の位置情報の把握、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイル等による攻撃といった必要な装備体系については、『現在は保有せず、計画もない』との立場をとっている。」というのが日本の現状なのです。  ですので、敵基地の攻撃については、日米安保条約によって米軍が攻撃し、対処してもらうことになります。日本の防衛政策は、自衛隊と米軍が、いわゆる「楯」と「矛」の関係性の中で日本の防衛を行っています。つまり、自分の国を守るという「楯」としての役割は自衛隊が担っていますが、相手から攻撃された場合、では相手の国を攻撃するにはどうすればいいのかというと、全面的に「矛」としての米軍に依存するということになっているのです。  しかし、米国のトランプ政権が同盟国に対して自助努力を促していることからも、提言では「北朝鮮の脅威が新たな段階に突入した今、日米同盟全体の装備体系を駆使した総合力で対処する方針は維持するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図るため、巡航ミサイルをはじめ、我が国としての『敵基地反撃能力』を保有すべく、政府において直ちに検討を開始すること」としました。
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EEZに落下するミサイルの破壊が違法!?
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知らなきゃヤバい!  防衛政策の真実

北朝鮮のミサイルが東京に打ち込まれても日本は反撃できない。国民は自分の命と憲法9条のどちらを守るか決断を迫られている。日本人として当然知っておくべき防衛政策がこの一冊でよく分かる。

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