更新日:2022年08月31日 00:34
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北朝鮮のミサイルには反撃できず、EEZに落下するミサイル破壊も違法――手足を縛られた日本の防衛政策の現実

EEZに落下するミサイルの破壊が違法!?

 また、平成28年8月以降、北朝鮮は4度にわたり日本の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイルを着弾させており、航行中の船舶への被害は生じなかったものの、操業漁船が多い海域でもあり、我が国船舶等の安全確保は喫緊の課題です。  このため、弾道ミサイル等の脅威から我が国のEEZを航行している我が国船舶等の安全を確保するため、以下の課題が考えられます。 ○ 政府は、当該船舶に対して、航行警報等を迅速に発出できるよう、直ちに検討すること。 ○ また、これらの船舶の位置情報の把握に関する技術的課題や当該船舶を守るための迎撃を可能とする法的課題について検討すること。  これは、EEZ内には我が国の船舶が多く所在し、これらの安全を確保することは極めて重要と考えているからです。一方、これらの船舶がどこに所在するかを精緻に把握することは難しいことから、この船舶の位置情報を把握する技術的課題や迎撃のための法的課題について、そして船舶への航行警報を迅速に発出することを検討しなければなりません。  法的課題の検討とは、具体的に現在の自衛隊法第82条の3の規定による弾道ミサイル等に対する破壊措置は、「我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止する」ことを目的とし、「我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等」を破壊するためのものであるため、EEZに落下する弾道ミサイルについては、同条の規定による措置をとることはできないからです。  現憲法下で許容される範囲で、専守防衛を逸脱せず、弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に着手しなければなりません。  あわせて今後は、国民の生命と財産をしっかりと守るためにも憲法改正を急ぎ、国際標準の防衛法制及び政策の策定が喫緊の課題となっています。 【田村重信(たむら・しげのぶ)】 自由民主党政務調査会審議役(外交・国防・インテリジェンス等担当)。拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー。昭和28(1953)年新潟県長岡市(旧栃尾市)生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、宏池会(大平正芳事務所)勤務を経て、自由民主党本部勤務。政調会長室長、総裁担当(橋本龍太郎)などを歴任。湾岸戦争以降のすべての安全保障・防衛政策の策定・法律の立案等に関わる。慶應義塾大学大学院で15年間、日本の安保政策及び法制に関する講師も務めた。防衛法学会理事、国家基本問題研究所客員研究員。著書に『改正・日本国憲法』(講談社+α新書)、『平和安全法制の真実』(内外出版)他多数。最新刊は『知らなきゃヤバい! 防衛政策の真実』(育鵬社)
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知らなきゃヤバい!  防衛政策の真実

北朝鮮のミサイルが東京に打ち込まれても日本は反撃できない。国民は自分の命と憲法9条のどちらを守るか決断を迫られている。日本人として当然知っておくべき防衛政策がこの一冊でよく分かる。

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