ゴーディの元気な姿にボーイズはみんなで感激――フミ斎藤のプロレス読本#041【全日本ガイジン編エピソード10】
試合ができるようになったといっても、やっぱり本調子にはほど遠い。あれほどリングの使い方をよく知っていたゴーディが、なんとなく手探りのプロレスをつづけている。技に入るときもロープに走っていくときも、どうしてもタイミングが少しずつズレてしまう。
ドクは、パトーナーのコンディションをかなり冷静に分析している。
「ジャンボ(鶴田)みたいに、ゆっくり戻していけばいいんじゃないか? あれだけ動ければ大したもんだよ。まる1年も休んでいたんだからな」
ドクは、ゴーディとのタッグがもうしばらくはおあずけなのをよく知っている。ゴーディがいないあいだ、ドクはシングルプレーヤーとしてがんばってきたし、番付ではすぐに下の位置につけているエースもドクとタッグを組んでもそれほど不自然ではないくらいのところまでグレードを上げてきた。
兄弟分のことはやっぱり心配でしようがないけれど、これからは自分のことだって真剣に考えていかなくちゃならない。
初めて三冠ヘビー級王座を手に入れた試合では、ゴーディとエースとリチャードがセコンドについてくれた。ドクは、スタン・ハンセンをどかすことができるのは自分しかいない、という意識を強く持っている。
リチャードはリチャードで、これからのプランを練っている。いろいろ考えてみたけれど、やっぱりアンクル・テリーがいないところでプロレスをつづけていく気にはなれない。
リチャードは、自分がもうちょっと背が高くて、もうちょっと髪を伸ばせば、もっともっと叔父さん似になれるかもしれないと考えていた。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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