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「不幸な世代」の若者は、いまの生活に満足している

古市憲寿氏

古市憲寿氏

「20代が年長者に嫌われる理由のひとつは、彼らが現状に“満足”しているように見えることです」

 そう語るのは、弱冠26歳の社会学者・古市憲寿氏だ。

 低迷する就職率やフリーターの増加などを背景に、マスメディアから「不幸な世代」として語られることが多い現代の若者たちだが、意外にも自分たちを不幸だと感じている人は少ないという。

「実は、今の若者たちはここ数十年間で最も自分たちのことを“満足”だと思っています。内閣府の『国民生活に関する世論調査』によれば、2010年の時点で20代男子の65.9%、20代女子の75.2%が現在の生活に“満足”だと答えている。特に男子に関しては、過去40年間で15%近くも満足度が上昇しているのです」

 その理由について、古市氏はこう解説する。

「人が自分を幸福だと感じるのは、『今の状態で十分だ』と考えたとき。つまり、より良い未来を想像できなくなったときです。若者たちの多くが現状に満足しているということは、明るい未来を想像できないから、逆に現状で満足するしかないということなのです」

 同調査によると、満足度は40代、50代の“中年”のほうが低い。好景気を経験したことがあるオジさんたちには、「日本はまだまだこんなものじゃない」という思いが強いのだ。だからこそ、現状に満足してる若者たちに苛立ち、“説教”をしてしまう。

 だが、古市氏はこう反論する。

「オジさんたちが『今どきの若者は……』と嘆く若者論は昔からありました。ですが、その内容は『やる気がない』『年長者を尊敬しない』など、ほとんど変わっていません。彼らにとって、いつの時代も『若者はダメ』だった。つまり、若者論とは、オジさん同士が自分たちの権威を確認し合うコミュニケーションツールにすぎず、若者に本気で変わってほしいと願っているわけではないのです」

“上昇”の味を知っているオジさんたちと、現状に満足するしかない若者たち。そうした違いを認めない限り、“説教”が若者に届くことはない。

【古市憲寿氏】
’85年、東京都生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。20代の気鋭社会学者として注目を集めている。著書に『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)など

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