AI、クローン研究…倫理なき中国ハイテク技術の暴走――中国だけが悪いわけではない!?
世界に先駆けてキャッシュレス社会を実現させた中国だが、人工知能や先端医学の分野でも中国は今、アメリカを抜く勢いで発展しようとしている。しかし、その裏に大きな懸念材料があった。日本も無関係ではないのだ!
人工知能(AI)やロボティクス、フィンテックなど世界的に注目を集める次世代産業において、中国の存在感が急激に増している。その勢いはすでに米国を抜き、世界的な主導権を握りつつある。しかし背景には、司法や治安維持の場へのAI導入、自動走行の安全基準、ゲノム解析やクローンの研究など、議論を後回しにしてテクノロジー優先で突っ走る中国の倫理や安全性を軽視した研究・開発があり、世界は危機感を持つべきなのだが、一方でこんな見方もある。
「中国国内では、おおらかな国民性によって非倫理的な企業でも受け入れられるかもしれませんが、海外市場では取引先や消費者から厳しい目で見られるので、相応の報いを受けることになるのでは」
また、中国人の考え方も徐々に変わるかもしれない。
「今の中国のテクノロジー業界は、欧米に留学して帰ってきた“海亀”と呼ばれる若い世代が牽引している側面もあります。彼らは欧米流の倫理観やルールを理解しており、それが徐々にではありますが、中国のビジネス界に流れ込んでいるのもたしかです。また、海亀の思考法として、海外で実績をつくって中国に再輸入するというのがトレンドになっている。DJIや教育ロボットのメイクブロックなどがそうです」(中国のテクノロジー動向に詳しい川ノ上和文氏)
一方で、医療におけるイケイケドンドンぶりについては、中国を一方的に責めることはできないのかもしれない。
「米イーライリリーや米メルクといった世界の大手製薬会社は、抗がん剤の治験を中国で行っている。新薬の治験というのは一般的に、まとまった数の患者を集めて半数には新薬を投与し、もう半数には薬理作用のない偽薬を投与するという方法で効果を比較する。しかし、この方法は倫理上の問題があって欧米や日本では難しい。そこで中国に場所を移して行っているというわけです」(サイエンスライターの川口友万氏)
自動運転の公道実験の例もしかり、倫理や安全に口やかましくない中国は“世界の実験場”として利用されているという側面もあるようだ。
いずれにせよ、ハイテク技術開発でも、中国には大国らしい振る舞いを期待したいものだ。
【川口友万氏】
サイエンスライター。富山大学理学部物理学科卒。都市伝説から媚薬に至るまで自ら実験・検証し、執筆。著書に『媚薬の検証』(データハウス)など
【川ノ上和文氏】
中国在住コンサルタント。深センを拠点に新興国のテクノロジー・社会変革をウォッチ。『フォーブス ジャパン』などで最新事情をリポートしている
取材・文/児玉ジン 奥窪優木 出水鴻正 写真/AFP=時事通信社、川ノ上浩文
― 倫理なき「中国ハイテク技術」が地球を滅ぼす ―
中国ハイテク技術の暴走をどう食い止めるか

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